百歳への招待「長寿の源」食材を追う「ニクジュヨウ」

2000.04.10 55号 11面

ニクジュヨウはトシシと並んで強壮・強精を目的とした代表的な補精薬で性機能充実の秘薬で、日本では「オニク」と呼ばれる。生育地は亜高山以上の高山のミヤマハンノキの根に寄生する。根茎はやや堅い肉質で太った塊状となっている。採集時期は7月から9月にかけて、根茎・全草とも薬効は高い。中国にみる産地は内蒙古・陜西・甘粛・新彊・青海省など。特に内蒙古の阿拉善旗の産出量が多い。

薬味・薬性は甘・酢・鹹・温で主成分は微量のアルカロイドと結晶性の中性物質を含んでいる。効能は滋養・強壮・強精・疲労・虚弱体質・腰のだるさ・聴力の衰えなどに効く。強壮・強精を目的とした処方には頻繁に使われ、楊貴妃も愛用したという。中国歴代の王侯でニクジュヨウを用いなかった者はいないというほど古来から評価が高く、長期服用しても副作用のない緩和な薬である。

ニクジュヨウは腎経の血分けの薬であって、陰から陽を生じ、精髄を益し精血を生ずる作用がある。李時珍は、ニクジュヨウには補の効用があって、しかもそれが峻烈でないところからジュヨウの名前が付いたとしている。ジュヨウとは和らぎ穏やかなものの形容であると述べている。さらに他の漢方薬である熟地・五味子などを配すれば元気を固め、陰を益するとその効能をたたえている。

ニクジュヨウはニクジュヨウ酒・ニクジュヨウ粥・ニクジュヨウ湯はじめニクジュヨウ蒸魚などの薬膳にも利用されており、この信者が多くみられる。各地の漢方薬店で容易に入手できる。また自分で山取りしてよく日陰で干しあげたものを利用してもよい。

薬酒の用量は容器に対し一〇分の二~二・五程度。市販の乾燥品であれば一〇分の一・五~二くらい。砂糖は少なめに大さじ三杯程度。ほぼ一カ月ぐらいで用いることができるが、熟成には三カ月以上を要する。中身は引き上げずそのままでよい。

やや黒褐色の特異な臭いと壮重な味の薬酒が出来上がり、ストレートによく、カクテルベースにも利用できる。強壮・強精・不感症・疲労回復・健胃整腸・無気力症・神経衰弱・神経痛・リウマチ・食欲増進などに効果的だ。飲み方は一回二〇ミリリットルを一日二~三回、食前空腹時または食間に服用する。

ニクジュヨウ粥も補陽・補血に効果が高いとみられる。ニクジュヨウ一五グラム、コメ二分の一カップ、水六カップを用意。この食効として補陽・補陰・補血、便通をよくする。倦怠感もとれ、神経衰弱・元気がない時に用いるとよい。

ニクジュヨウと青梗菜のスープも前述の薬粥と同様の効果が期待されよう。湯葉やシイタケを加えると一段と食べやすくなる。またニクジュヨウと豚肉の赤身を煮たスープも薬効が高い。食塩少々、生姜二片、醤油・黄酒で調和するとよい。

ニクジュヨウ丸・還少丹・ジュヨウ潤腸丸ほか、ニクジュヨウをベースとした数多くの漢方薬材がみられる。またニクジュヨウ茶は女性の温陽補腎や腰痛によく、一日二回二〇グラムの茶の愛飲を勧めている。

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