百歳への招待「長寿の源」食材を追う:栗
中国では、菱と栗は薬効が高い食材として古くから食べられてきた。実だけでなく、葉などにも効用があり、利用価値が高いとされる。食べ方もいろいろ、薬材として大いに活用したい。
(食品評論家・太木光一)
栗は中国が原産。陝西省の遺跡から六〇〇〇年前の出土品の中にみられ、当時から食用とされていたと思われる。現在では広い中国で二二省にわたって産出され、特に黄河・長江流域の諸省で栽培が集中している。河北・山東・湖北・浙江などが主産地だ。
また世界的にみると、ヨーロッパ栗・アメリカ栗・日本栗・中国栗と分類され、ヨーロッパ栗は、南部ヨーロッパ・北アフリカなどに自生し、フランス・イタリア・スペインなどで広く栽培されてマロングラッセや焼き栗に使われている。
中国では八品種が代表的で板栗・錐栗・芽栗などがあり、中でも板栗の知名度が高い。これが主要栽培品種で別名、大栗・魁栗・中国甘栗とも呼ばれ経済価値は大きい。
皮がはがれやすく肉質が細密で甘味が強いことによる。
栗の成分は栄養豊富で中国にみる分析表によれば、タンパク質五・一~一〇・七グラム、脂肪二~七・四グラムとなり、日本のものより数値が遙かに多い。またビタミンA・B1・B2・Cにも優れている。さらに不飽和脂肪酸が多く含まれているので、高血圧・冠心病・動脈硬化などの疾病にもよく、高齢者が好んで栗を食べると衰老防止効果が大きく、延年益寿が達せられる食品としている。
このため栗は保養と治病の良薬ともみられている。中国では栗の性質は甘温、有養胃・健脾・補腎・壮腰・強筋・活血・止血・消腫などに効用がみられる。さらに腎虚(全身の衰弱)に原因する腰膝の激痛や腰脚の不自由・鬱血に起因する腫病などにも効果がみられる。これは、栗は腎によい果実とみられ、食することによって自然に効力が出てくることによる。
以上により栗は古来から病気を治し、滋補的に効用大の果実とみられているのだ。
したがって栗三〇グラムに水を加えてよく煮て砂糖を適量加えて毎晩睡眠前に用いると、病後の虚弱体や四肢疼痛に悩む人には有効となろう。
中薬大辞典にみる栗の効用も前述したものとほぼ同じで、養胃健秘・補腎強筋・活血止血・治友胃・泄瀉・腰脚軟弱・便血などを挙げている。しかも栗は実ばかりでなく、葉は煎用して漆かぶれによいとされる。いがは煮汁を飲むと鼻血を止めるのに効果的とされている。花は煎用して下痢や便血を止めるのに用いられる。さらに毛球は丹毒や百日咳に煎用するとよいとされ、樹皮はいが同様に煎用し丹毒の治療に用いられている。さらに根も疝気に効果大とされ、まさに捨てるところのない薬材木といえよう。
また栗の木は非常に堅く長期保存に耐えるので、かつては鉄道の枕木をはじめほかの用材にも利用されており利用価値は大きい。
日本では栗は代表的な秋の味覚として主に茹でたり製菓材料(栗ようかん・鹿子ほか)に広く利用されているが、中国と同様に薬効の高い食材として見直す必要があろう。













