カルピス「カルピス酸乳/アミールS」カロリーオフの魅力

2002.02.10 78号 12面

カルピス(株)の『カルピス酸乳/アミールS』は、『カルピス』の素となる「カルピス酸乳」の研究を通して約三〇年の歳月をかけて開発された商品。発売当初(一九九七年)は年間一三万ケースだったのが現在、一七六万ケースというから、それだけ多くの人が飲んで効果を実感している証拠だ。特定保健用食品の「血圧が高めの方に適した食品」として認可されており、この商品の機能性は世界にも認められ、昨年アメリカ、ヨーロッパで権威ある賞を続けて受賞した。いまや国内外で健康機能性を認められ世界に通用する商品となった『アミールS』の開発や降圧作用の仕組み、飲み方など数々の魅力に迫った。

『カルピス』は、一九一九年7月7日の発売、誰もが知っている日本生まれの乳酸菌飲料。八〇年を超える長い歴史の中で多くの人に愛飲されている。この『カルピス』は、脱脂乳を乳酸発酵させてできた発酵乳(カルピス酸乳)に砂糖を加えてさらに発酵させた後、砂糖と香料を加え加熱殺菌して作る。“カルピスの素”ともいえる中間段階の「カルピス酸乳」は、『カルピス』製造時のスターターとして使われ、代々同じ乳酸菌が受け継がれ同じ味を保ってきた。この方法はカルピスの創業者・三島海雲氏(一八七八~一九七四年)が青年期にモンゴルを訪れた経験を生かしたもので、近代的な装置を使いつつも伝統的な発酵過程を経ることで健康に役立つ食品を開発してきたこだわりがあったためだ。

この酸乳の健康性を探求する研究が三〇年前から開始された。

一九八〇年、同社はマウスにカルピス酸乳を食べさせる実験の結果、寿命が延びたと発表した。がんや感染症、循環器障害など人間と同じ死因を持つマウスにカルピス酸乳を食べさせて寿命延長効果があったということは、カルピス酸乳がそれら疾病の発生を遅延させたということになる。その後、八四年に血圧降下作用、抗がん作用、八七年疲労回復効果、九〇年免疫賦活作用と次々に研究成果が発表された。

同社では、その中でも血圧降下作用に着目し研究を進めた。

血圧降下作用を持っていたのは、カルピス酸乳に含まれているラクトトリペプチドという成分だった。

当時血圧を上げる“アンジオテンシン変換酵素”という酵素が発見され、血圧上昇の働きを阻害することで血圧を下げる薬が開発されていた。

しかし、同社はマウスの実験からもカルピス酸乳に降圧作用があることを認めていたため、カルピス酸乳を徹底的に調べ、血圧を下げる特定成分を探り出す研究に没頭した。

九一年から研究に携わったカルピス基盤技術研究所の中村康則マネジャーはたった一人で研究をスタート。「もともとカルピス酸乳の中には、多くの有効成分が含まれており、その中から特定の血圧を抑える成分を探すのは、非常に苦労しました」と振り返る。

何度も、試験管レベルでデータを取り、山のように数多くの成分を調べていくという地道で気の遠くなるような研究が続いた。そしてついに九二年、二種類の物質(ラクトトリペプチド)を発見した。

試験管の中で、ラクトトリペプチドが血圧を上げてしまう因子“アンジオテンシン変換酵素”を阻害することが確認された。次の動物実験では、高血圧のマウスは血圧が下がり、正常なマウスには大量に投与しても変化がないことを確認した。

そしていよいよヒトでの効果、安全性を確認する実験が行われた。九四年から高血圧患者に臨床試験を行い、翌年には健常者にも臨床試験を行った。図は、最近の臨床試験の結果である。これを見れば分かるとおり、明らかに血圧の降下が認められた。飲用をやめると再び血圧が上昇していることも分かる。また、健常者が大量に摂取しても副作用などは認められず安全性が確認された。中村マネジャーは「健常者に異常が見られないか、まず我々研究者が実験台となりました。毎日カルピス酸乳を飲む量を増やしていき、一週間後には一日に七〇〇~一〇〇〇ミリリットルを飲みましたが、乳酸菌の働きでおなかの調子も問題となりませんでした。薬ではなく食品なので、過降圧や副作用もみられませんでした」と話す。これらの実験の成果が認められ九七年6月23日、特定保健用食品の許可を受け、同年7月に発売。一昨年カロリーオフに商品改定して現在に至る。

血圧が高いまま放っておくと、知らず知らずのうちに血管が痛み、脳卒中や心筋梗塞、腎不全など様々な生活習慣病を引き起こす。いままで紹介してきた試験結果からも分かるとおり、ラクトトリペプチドが含まれている『カルピス酸乳/アミールS』は、食品として摂取するだけで、日ごろ血圧が気になっている人が効果を実感できる。一日一本の継続飲用で早い人で二週間、遅い人でも一カ月間飲み続けると効果が期待できる。先の図からも分かる通り、飲用をやめた後はまた血圧が上がっていることから、続けて飲む必要がある。

ただ、いまのような寒い時期に冷たいのを飲むのはいやだという人は「人肌程度なら温めて飲んでも効果は変わらない」と中村マネジャーはいう。

現在、降圧作用に加え他の生理機能も研究中で、その成果が徐々に上がりつつある。

◆『カルピス酸乳/アミールS』カロリーオフ

97年、「血圧が高めの方に適した特定保健用食品」として発売。血圧降下作用のある「ラクトトリペプチド」を1本当たり3.4ミリグラム含有している。昨年6月に、世界有数の食品科学関連団体「IFT」から「産業発展功労賞」を受賞。同年11月には世界最大規模の食品素材展示会「ヨーロッパ国際食品素材展」で「最優秀食品研究賞」を受賞。国際的な評価により、現在では世界に通用する商品となっている。

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