山登りは生活習慣病予防の王者 上手に歩くポイント
「登山の時にはゆっくり歩けばバテない」といわれるが、ゆっくりってどのくらい? この質問に、山本助教授は「平地を歩くときの半分以下のスピード」と答える。自らトレッドミル(大型のベルトコンベア)を歩いて実験したところ、「心拍数が約110拍の軽い運動負荷になったのは、平地では早歩きの分速110メートル、登山想定(傾斜8度、10キロのザックを背負う)では分速約45メートル」だったことから、この数値を求めた。
山本助教授のトレッドミルの実験でも、下りは登りの半分のエネルギーしか使われておらず、消費する酸素量・心拍数・蓄積する乳酸量、すべて登りほどではない。しかし筋肉の細胞が壊れた時に血液中に出るCPK(クレアチン燦酸キナーゼ)は、登りではほどんど増えないが、下りでは大幅に増える。「つまり登りは心肺系に大きな負担がかかり、下りは筋肉へのダメージが大きいわけで、どちらにも大変さはある。下りのダメージは筋肉痛として後で出てくるまで体感しにくいので油断は禁物です。前者はゆっくり歩くこと、後者はヒザを柔らかく使って着地衝撃を少なくする、つまりていねいに歩くなどで、対応しましょう」。