ヘルシートーク:日本リビングフード協会代表・いとうゆきさん

2010.09.10 182号 05面

「スプラウトのパワーサラダ」

「スプラウトのパワーサラダ」

 ローフードとも呼ばれるリビングフードは、植物性食材を加熱せず生で食べることで、美容や健康に効果的な酵素をふんだんに身体に取り込む食事法。「おいしくて、しかもキレイになれる」として、欧米セレブの間で大ブームのこの食スタイルが、近ごろ日本でも話題の的。そこで、第一人者であるいとうゆきさんに詳しく聞いてみました。

 ◆美肌やダイエット効果絶大!酵素が身体を活性化

 一時は寝たきりになるほどの、ひどいアトピー性皮膚炎にかかったのがきっかけで、対症療法ではなく身体を根本から治そうと、マクロビオティックをはじめさまざまな自然食を試しているうちに、リビングフードと出会いました。カリフォルニアの学校でノウハウを学びながら、加工食品や加熱したものをいっさい取らず、ひたすら生の野菜や木の実、発芽食(スプラウト)、発酵食を食べ続け、わずか1ヵ月で劇的に肌がきれいになったのを実感しました。

 生の食べ物には酵素が含まれていますが、48度C以上に加熱すると破壊されてしまいます。「生きている食べ物=リビングフード」を取ることで、酵素が代謝をアップさせ、免疫力を高め、美肌やダイエット、アンチエイジングにとても効果的だということを、学校を卒業し、日本に帰国した後も、身をもって体験しています。

 最近では、タレントの杉田かおるさんがリビングフードを実践し、ダイエットに成功されたりして、日本でもこの食スタイルが知られるようになってきたのはうれしい限りです。

 調理が難しそうと思われがちなリビングフードですが、火を使わないし、ミキサーやフードプロセッサーを活用すれば、驚くほど簡単。肉や魚を使わないから味気ないのでは、という心配もご無用。生のナッツやドライフルーツを加えてコクを出したり、スパイスを効かせたりするなど、おいしくいただく工夫がたくさんあるんです。

 リビングフードでとりわけ大切な食材は「発芽食品」と「発酵食品」。みそ、しょうゆ、納豆、漬物など、日本には昔から発酵食の文化があるので、私たち日本人は、実はリビングフード的生活に馴染みがあるんです。さらに、「発芽食品」を加えることにより、「生きた食品」の恵みを実感できると思います。

 リビングフードの酵素の力で、身体を内側から美しく健康的に変えていきましょう。

 ◆できることから始めましょう!冷えも根本から治します

 私のように体質改善を目的にしない限り、100%生のものしか食べないなんて、現実的ではないですよね。芋類やきのこなどは、やっぱり火を通した方がおいしいし、ストイックな食生活はなかなか続かないので、無理せずできる範囲で取り入れるのがおすすめです。火を通した方がおいしい野菜は軽く蒸して、ディップソースに酵素たっぷりのみそや酒かすを使ってみましょう。

 夏場は生の野菜や果物がおいしい時期ですが、寒くなってきたら温かいスープや鍋も食べたくなるもの。鍋には、薬味としてアサツキや大根おろし、スプラウトをたっぷり添えましょう。さらに、私は鍋が煮える間に、テーブルの上の鍋の具材をかじっています(笑)。

 「加熱食の前にリビングフードを取る」、実はこれが大切。酵素を先に体内に入れることで、あとから食べる加熱食の消化を助けてくれるんです。外食する時も、生野菜サラダなど注文して、先に食べることを心がけてくださいね。

 ところで、生野菜や果物は身体を冷やすのではと心配する方が多いのですが、酵素によって食べたものがエネルギー(熱)に変換されやすくなるので、逆に冷え性が根本から改善されていくはずです。さらに、国産の旬のものを、常温で、よく噛んで食べる。この3原則を守れば、リビングフードを始めても、身体が冷えることはありません。

 ◆最強食材スプラウト とりわけオススメなのは…

 リビングフードのメイン食材=発芽食品つまりスプラウトは、種から発芽したばかりの野菜の新芽。生命力にあふれていて、これから成長するための栄養素と酵素をたっぷり含んでいます。サラダにはもちろん、麺類やみそ汁、丼物など加熱食を食べる時も、最後にスプラウトをトッピングするだけで、グンと栄養価と酵素量を高めることができますよ。

 スプラウトの中でも、特に私のおすすめは「ブロッコリースーパースプラウト」。「スルフォラファン」という、抗酸化作用やデトックス作用のあるすごい成分が豊富に含まれていて、体内の酵素を増やし、アンチエイジングに貢献することが研究でわかっているからです。

 しかし、見た目が同じブロッコリーのスプラウトでも、栽培方法によって、スルフォラファンをほとんど含まないものもあるので注意が必要。私はどうせ食べるならより身体に良い、優れた食材を選びたいと思っているので、スルフォラファンを高濃度に含むことが保証されたものを選択しています。アメリカの有名校、ジョンズ・ホプキンス医科大学で開発された、高品質の証である「ブラシカマーク」がパッケージに付いているのも安心できるポイントですね。

 ブロッコリー スーパースプラウトは洗浄済みなので、パックから出してそのまま使えます。執筆作業や教室で忙しくて時間がない時や、お付き合いで加熱食を食べ過ぎた時は、このスプラウトで酵素を補充しています。

 ●プロフィル

 1970年東京都生まれ。世界各国でマクロビオティックやリビングフードを勉強し、2005年に「日本リビングフード協会」を設立。リビングフード料理研究所「LIVEggie’s」主宰。料理教室やセミナーを通して、リビングフードの普及に努める。東京・代々木「カフェ アライブ」のメニュー提案も。

 ◆レシピ「スプラウトのパワーサラダ」

 〈材料(2人分)〉

 ・ブロッコリースーパースプラウト …1/2パック

 ・かいわれ大根(1/2長さにカット)…1/2パック

 ・アボカド(7mm角切り)………………1/2個

 ・赤たまねぎ(薄切り) ………………1/8個

 ・木綿豆腐(7mm角切り)………………1/4丁

 ・納豆 ……………………………………1パック

 たれ

  酒かす…大さじ1/麦みそ…大さじ1/豆みそ…小さじ1/ココナッツミルク(または水)…大さじ3/にんにく(すりおろし)…小さじ1/4

 ・プチトマト ……………………………4個

 ・イタリアンパセリ ……………………適宜

 〈作り方〉

 (1)たれの材料をすり鉢に入れてあたる。

 (3)ボウルに、かいわれ大根、アボカド、赤たまねぎ、木綿豆腐、納豆を入れ、(1)のたれであえる。

 (3)(2)をセルクルに詰めて抜き、皿に盛り、上にブロッコリースーパースプラウトをのせる。

 (4)別の器に余ったたれを入れ、角切りにしたプチトマトとイタリアンパセリを飾る。

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