百歳さんこんにちは:東京都・野辺善太郎さん(100歳)

2014.06.01 227号 06面
明るくて気さくな人柄

明るくて気さくな人柄

お気に入りの作品は額に入れて楽しむ

お気に入りの作品は額に入れて楽しむ

 東京都杉並区で暮らす野辺善太郎さんは、100歳とはとても思えない“スーパー100歳”だ。週に1度はゲートボールに通い、いま熱中しているのはカメラ。大きな望遠レンズ付きのカメラを持って、公園に来る鳥たちのベストショットをねらう毎日だ

 ◆孫は7人、ひ孫が4人

 長年、杉並で建具屋を営んできた善太郎さん。14年前に妻を亡くしてからは一人暮らしだが、すぐ隣に次男・秀男さん(72)家族が住んでいる。

 「25歳で結婚して、4人の子どもを授かりました。いまは孫が7人、ひ孫が4人。秀男のところに2目のひ孫が誕生したところで、上の女の子はこの春から幼稚園。本当にかわいくて、遊んでいるところをカメラで撮るのも楽しみ」と顔をほころばせる。

 70代の頃に始めたゲートボールをいまも続けているが、「一緒にやっていた仲間も、亡くなったり病気になったりして減ってしまい、いまは週1回通う程度です」。10年ほど前には国際大会にも出場。「試合のために北京へ。帰国後は都知事にあいさつにも行きました」と嬉しそうに話す。

 ◆電動自転車にカメラを載せて

 回数の減ったゲートボールの代わりに始めたのがカメラ。「これからの季節はカワセミ。飛んでいる姿や、魚をくわえているシーンをねらっていると、あっという間に日が暮れちゃう」と笑う。カメラと三脚を電動自転車に載せて、近くの公園に通う。「カメラ仲間に会えるのも楽しいし、撮影したものを見返すのも楽しみ。パソコンに取り込み、気に入った作品は額に入れて飾っています」。

 老人会の旅行では、撮影係は決まって善太郎さん。「4月の箱根旅行でも、後で参加者全員に記念写真を配ったんですよ」。サービス精神も旺盛なのだ。

 ◆好き嫌いはなし好物はさつま揚げ

 食べ物の好き嫌いはなく、朝食は自分で作る。「みそ汁と漬物があれば十分。買い物も大好きだから、惣菜やパン、お団子、みそやしょうゆなど、何でも自分で買います」。

 昼食は秀男さんの妻・裕子(ひろこ)さんが持って来てくれることも。「何でも文句も言わず食べてくれます」と裕子さん。「揚げ物も大好きで、さつま揚げが好物。普通のお年寄りとは違うんです(笑)」。

 埼玉・熊谷の農家の三男坊に生まれた善太郎さんは、「田舎ではコメの飯なんか食べられなかった」。東京で建具屋に奉公したが、「今度はコメばかりで脚気に。野菜も食べなければいけない」と力説する。

 戦争中は召集され、朝鮮半島で3カ月間、ダイナマイトを抱え戦車に突っ込む訓練をさせられた。「戦争中の苦労を思えば、他のことは苦労じゃない」と語る。戦争で生き残ったのは幸運だったから。そして周囲の協力に恵まれて現在があると、感謝の気持ちを忘れない。

 週末には秀男さんの家に家族が集まって、一緒に食卓を囲む。「みんなでワイワイと鍋をつつきながら食事を楽しむのが何よりの幸せ」。人生を味わい尽くしてきた善太郎さんの言葉には、実感が込もっていた。

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