ヘルシートーク:俳優・財前直見さん
◇大分県に移り住んで18年 故郷での暮らしは豊かで幸せ!
子育てを機に故郷の大分県に移り住んだ財前直見さん。新刊『直見工房2 それからのこと』には、田舎での豊かな暮らしが綴られています。その中から、畑でとれる旬の作物や季節の恵みを余すことなく味わうレシピ、築133年の家を建て替えた新居について伺いました。
●秋のかぼすは、いまが旬 氷砂糖を加えて果実シロップに
この時期、畑で収穫しているのは、かぼすと栗です。夏のかぼすは小ぶりで青いのですが、秋になると大きくなって黄色に色づき、酸味がまろやかになるんです。畑は自宅から車で1時間ほどの場所にあるので、「今日の夜、魚を焼こう」と思い立ったら、かぼすをとりに行くこともあります。「旬」という言葉には、本来10日間という意味があるように、秋のかぼすは、いまが一番おいしいんですよね。
かぼすがとれると、必ずつくるのが果実シロップ。かぼすと氷砂糖を1対1の割合で入れて、ほったらかしにしておくだけで、1カ月後にはおいしいシロップが完成します。夏は炭酸水で割って、冬はお湯を加えてホットかぼすにして飲むことが多いですね。果実シロップはとにかく簡単なので、これからとれるキウイやゆずでもつくる予定です。
いまは、栗の作業にも追われています。コンテナに半分もの量がとれたのですが、虫が喰っている栗もあるので、一度洗って拭きながら確認しなければならなくて。この作業は、結構手間がかかるんです。
小さい栗や少し虫が喰った程度の栗は捨てずに「栗ボール」をつくるのが定番です。圧力鍋で栗を蒸してから半分に切って、中の実をスプーンでとり、砂糖を加えて丸めればできあがり。1個ずつラップに包んで冷凍保存もしています。
畑には、まだきゅうりが育っていて、もうすぐパパイヤが収穫できそうです。残念ながら、さつまいもはイノシシに食べられてしまったんですけど。これから春にむけて、じゃがいもやたまねぎを植えようと思っています。
●年中持ち歩いている手作りの「ゆずこしょう」
わが家で毎朝欠かさないのが、畑でとれた新鮮な野菜中心のみそ汁です。今朝の具材に入れたかぼちゃは、「宗麟南瓜(そうりんかぼちゃ)」という大分県の在来種。甘さは控えめですが、大きくて粘りがあり、みそ汁に入れると、とてもおいしいんです。
ここ数年で始めたことの一つが、みそ作り。大分県の老舗みそ蔵「綾部味噌醸造元」さんで一緒につくった米麹を使って、家でみそを仕込んでいます。米麹ならではの甘みとまろやかなこくが感じられるみそは、おいしさも格別です。
万能調味料も手作りするものが多いですね。母が昔からつくっているものもあれば、突然ひらめいてレシピを開発したり。中でも、年中持ち歩くほど欠かせないのは「ゆずこしょう」です。
薄く切ったゆずの皮、塩、鷹の爪、ゆずの絞り汁をフードプロセッサーで攪拌(かくはん)するだけで、簡単につくれます。市販されているものは辛さが強くて苦手なので、手作りする際は、唐辛子を少なめにして、ゆずの香りが立つようにしてますね。同様にかぼすでつくる「かぼすこしょう」も活用しています。
何かと便利なのが、みそに砂糖とみりん、すりおろしたゆずの皮と果汁も加えてつくる「ゆずみそ」。ゆずの爽やかな香りとジューシーさも味わえるので、生野菜や蒸し野菜、田楽はもちろん、ピザやお餅にも合うんですよ。
最近は、農業に携わっている方や地元の人たちとの新たな出会いも多く、宗麟南瓜をすすめてくれた、もちとうきび(とうもろこしの一種)博士の森田昌孝先生もその一人です。そんな出会いも、大分での豊かな暮らしにつながっていると思います。
●古い梁を囲炉裏テーブルに 築133年の古民家を改築
これからの季節、鍋にして食べることが多いのが、大分の郷土料理の一つ「だんご汁」。具材は何を入れてもいいのですが、欠かせないのはさといもです。最後にかぼすを搾って入れるのも、大分ならでは。身体も温まりますよ。
簡単にできるレシピなら「にんじんの丸ごとグリル」がオススメです。にんじんを丸ごとオーブンに入れてじっくり加熱することで驚くほど甘くなり、こくも出るので、にんじん嫌いな人も、おいしいと食べたほど。
塩とオリーブオイルをかけたり、粉チーズをプラスして食べることもありますね。
大分県に移り住んで18年。畑近くに、明治時代に建てられた築133年の空き家があり、どうしようかと迷っていたんです。古い家のままだと息子は行かないだろうし、解体だけでも費用がかかるし…。でも、どうせなら生きているうちに楽しまなきゃと思って、建て直すことを決めたんです。テレビ番組の密着が、後押してくれた部分もありますね。
一昨年完成した新居には古い家の梁を囲炉裏テーブルとして再生したり、煤竹(すすだけ)をオブジェとして残したり。蔵に放置されていた祖母の古だんすもリメイクしました。「100年住める家をつくろう」という家族の思いもあり、古いまま残すのではなく、いまの時代にとり入れる形で引き継いでいます。家族全員で建て直しを手伝わせてもらったことで、より思い入れも強くなりました。
今後も女優業を頑張るうえで、農作業ができることや田舎での暮らしは強みになると思っています。何よりも人生の転機を温かく迎えてくれた故郷には、これから恩返ししていきたいですね。
◆プロフィル
ざいぜん・なおみ 1966年1月10日、大分県生まれ。1985年、俳優デビュー。ドラマ『お水の花道』(1999年、フジテレビ)、連続テレビ小説『ごちそうさん』(2013年)、同『スカーレット』(2019年、ともにNHK)など数々の映画・ドラマに出演。2007年に故郷の大分県に移住し、田舎暮らしの魅力を発信。「終活ライフケアプランナー」ほか、多数の資格も取得。現在、『なおみ農園』(BS日テレ・木曜22時)がレギュラー放送中。
●NEW Book
『直見工房2 それからのこと』 財前直見著/宝島社 定価:1,518円(税込)
 
					 
             
             
             
             
             
             
																					 
																					 
																					 
																					 
								 
								 
								 
								










 
						 
						 
						
 
