新生「マクビティ」が好調 存続へ懸命な戦い

菓子 ニュース 2019.12.18 11986号 01面
新生マクビティ4品を手にするモントワールの西澤敏一副社長(右)と北健人輸入部長

新生マクビティ4品を手にするモントワールの西澤敏一副社長(右)と北健人輸入部長

新生「マクビティ」の販売が好調だ。当たり前のように売場に並ぶ「マクビティ」だが、店頭から商品をなくさないための懸命な戦いが存在する。英国発祥のビスケットブランド「マクビティ」は、長らく明治がライセンス契約に基づき製造販売を行ってきたが、契約終了に伴い、19年8月末で終売。菓子卸大手の山星屋の関連企業で菓子の商品企画開発・輸入販売を行うモントワールが「マクビティ」の日本における販売代理店契約を、「マクビティ」ブランドを所有するトルコ・イスタンブールの食品製造および小売業、ユルドゥズ・ホールディング(HD)の英国子会社であるプラディス社と締結し11月から販売を開始した。

「マクビティ」ブランドは、日本の市場から姿を消すことなく、連続して店頭に並び、円滑なブランド移行に成功したかに見えるが、その裏側では、西澤敏一副社長、北健人輸入部長をはじめとするモントワール社員の想像を絶する努力があった。

モントワールは、オリジナリティーが高い独自の菓子商品の開発に定評がある。全国各地のJAやディズニージャパンをはじめとする異業種コラボで差別化されたオリジナル商品は、小売業から高い評価を得ている。同社では現在、輸入代理店事業強化戦略を進めている。こうした中、ユルドゥズHD傘下のプラディス社から「マクビティ」の日本販売代理店のコンペの話が持ち込まれた。約20人規模のプロジェクトチームを発足。モントワール社員を中心に、山星屋のマーケティング、営業部門も加わった。海外ブランドのコンペ参加経験が豊富な北部長が現場レベルで指揮。英国プラディス社を訪ね、マクビティ以外のブランドの取り扱い交渉も行うなど、関係強化を努めた結果「マクビティ」ブランドの獲得に成功した。

ただ、時間的な余裕がなかった。同社では、19年6月26、27日にパシフィコ横浜で開催の山星屋展示会「アリスタフェア」で「マクビティ」の披露を計画していた。代理店の内定通知、契約締結から半年もないスケジュールで実現は不可能かと思われた。日本の消費者に新しい「マクビティ」の魅力を知ってもらいたいとの思いからモントワール、山星屋が一丸となって熱意も持って取り組み、商品選定、デザイン、輸入関係の対応などの課題をクリアし9月発売の見通しが立ち、アリスタフェアで披露も成功した。そして、バイヤーからの商品への評価が高いことに加え、山星屋グループが総力を挙げた結果、想定を超える受注状況となり、9月発売を11月に延期した。

全世界で生産されている中で、トルコ製造商品を選んだ理由は、ユルドゥズHDの本社がある国であることに加え、トルコ人の生真面目な国民性から、同国産のマクビティは高品質であるとの評価が高いからだ。発売後の状況は、各小売業から週販などでもトップレベルとの高い評価を得ているなど好調に推移している。=関連記事9~11面(青柳英明)

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