コープあいち・安全運転センター、“名古屋走り”矯正目指す 職員の地域配慮意識育成

総合 ニュース 2023.03.06 12545号 03面
上部にスカイカメラを導入し、生活道路を想定するなど各種コースで運転研修

上部にスカイカメラを導入し、生活道路を想定するなど各種コースで運転研修

 【中部】自動車産業が盛んな愛知県は、全自動車保有台数(二輪車を含む)が人口全国1位の東京都を抜き、約534万台(自動車検査登録情報協会による2022年10月末時点)の全国1位で、多くの住民が自動車を使用している。そのため、交通ルールやマナー、モラルは個人間で差が生まれ、地域特有の走り方“名古屋走り”といわれるほど他県から指摘される土地柄だ。このような環境に問題意識を持ったのが生活協同組合コープあいちだ。(藤田順也)

 名古屋走りとは、愛知県を中心とした名古屋都市圏で歩行者・自転車などへのあおり運転・人命軽視、停止線で止まらない、右左折・車線変更時に方向指示器(ウインカー)を出さない、道幅が広い道路事情を反映して猛スピードを出す、急加速・急発進など傍若無人ともいえる走り方。

 コロナ禍やデジタル社会によって通販サイトやネットスーパーなど宅配需要が増加し、宅配トラックが街中を頻繁に走っている。宅配事業を柱とするコープあいちは、地域に配慮した運転を大切にする職員育成を目的として、愛知県新城市に宅配トラックに特化した「新城安全運転センター」を1月30日に自社で新設。これまで東海3県連合の東海コープでは、20年度くらいまで座学で合同研修を開催してきたが、終了したことに伴い、自社施設を計画。内部職員を対象としながら、今後はほかのコープ、地域、学校などへの貸し出しも検討。委託業者への研修も望まれる。

 コープあいちは、トラック(委託業者を含む)と営業車が毎日700台以上走り、ここ数年で女性ドライバーも増えている。10年から私的な事故違反の報告を職員に求める独自施策を行っているが、事故違反は年間平均250件を横ばいで推移。「減少しないことに問題意識を抱えていた」と話すのは平澤陽一郎人事部安全運転推進課長だ。まずは最初が大切との思いから、入職1年以内の職員を主な対象として、将来的には長期勤続者、事故違反者向け研修も視野に入れる。22年には初めて現場トップのセンター長向け研修を実施。平澤氏は「本気でやるぞ」と意気込み、ドライブレコーダーを運転指導などに活用。個人のメンタル・意識が反映する運転矯正の難しさから、さまざまな施策によって自主退職者もいたという。

 施設は新城配送センターの隣に7777平方mの広さで設置。災害時にはBCP対策本部として活用され、研修棟の屋根には太陽光パネルを配置。運転コースは見通しの悪い無信号交差点の生活道路を想定し、上部にスカイカメラを導入した。さらに幅寄せ、縦列、車庫入れ、制動距離、クランク、玉つぼなどのコースがあり、2月11日は各拠点から7人が参加。トレーナーからは「限られた時間で配達することから、安全へのメンタル・意識を教えている」と話し、楽しく学ぶカリキュラムを目指している。

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