新型コロナ:外食、底が見えず 家庭用の異常需要で物流混乱

外食 ニュース 2020.03.09 12023号 01面

家庭用食品が異常需要の対応に追われる一方、外食市場は出口が見えないトンネルに入っている。外食は昨年10月の消費増税、台風禍に始まり、年末の「忘年会スルー」というネガティブワードの登場、そして年が明けて3月の「歓送迎会自粛」と、消費の盛り上がりが期待できる季節のすべてにマイナス要因が働いた。特に新型コロナウイルスの感染拡大は、自然災害のように地域的なものではなく、日本全体が大きな影響を受けている。

ある業務用食品卸は「歓送迎会の自粛、グループ客の落ち込みで15~25%ほど販売額が落ちている」。他の卸は「20%減ほど。ホテルの宴会キャンセルがきつい」と語る。この落ち込みも現状であり底が見えない状況だ。また物流も混乱している。家庭用食品などの異常需要により、そちらに配送便が取られ、業務用食品の配送が遅れているという。

全国各地で開催される展示会などのイベントも軒並み中止となった。業務用食品卸の展示会では出展メーカー200社の場合で約500食の弁当が用意されるがすべてキャンセル。そのキャンセルの食数は膨大だ。工場給食は現状では落ちたという話は聞かれないがオフィス給食は時差出勤、テレワークなどで減少、学校給食の休止、スポーツの無観客試合も施設内の弁当、食堂がなくなっているなど外食産業の被害は甚大だ。気になる話もある。「メーカーが中小卸の与信の見直しを始めている」というものだ。与信が厳しくなれば、従来どおりの仕入れができなくなる可能性があるなど経営基盤が弱い企業にとっては死活問題だ。(金原基道)

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