クルミ需要急伸 コロナ禍で健康訴求が奏功 中食市場狙い惣菜セミナー開催

田中良介氏

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杉浦仁志氏

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財務省が発表した通関統計によれば、21年(1~12月)の米国産クルミの輸入量は前年比18.6%増の2万1944tと初めて2万tを超え、過去最高を記録した。

カリフォルニアくるみ協会によれば、米国から輸入されるクルミの多くはカリフォルニア産で、日本に流通している95%以上はカリフォルニア産だという。

16年ごろからアップトレンドとなっていたが、コロナ禍での大幅な伸長は、オメガ3脂肪酸の効能や腸活などの健康効果訴求が奏功して消費が拡大しているものと推測される。いわゆるテーブルナッツ(ミックスナッツ)の需要が伸び、在宅勤務、間食機会、巣ごもり、料理需要の増加でクルミ需要も伸長したと分析している。

同協会は約4800のカリフォルニアクルミ生産者・加工業者を代表して米国内と、海外でカリフォルニア産クルミの普及・啓蒙活動を行っている米国農務省の非営利外郭団体で「いつでもくるみ(Always Walnuts!)」を今年のテーマに掲げ、既存市場の一層の活性化と新規市場開拓に取り組んでいる。日本以外では韓国、印、英、西、独、UAE、トルコでも活動している。

22日には服部栄養専門学校を会場とするリアルとオンラインで、食品・惣菜メーカー、SM・CVSの惣菜・食品開発担当者、外食企業向けに「“くるみ”を活用したプラントベース製品・メニュー開発セミナー」を開催する。会場では試食も提供する予定。

同セミナーではInnova Market Insights日本カントリーマネージャーの田中良介氏が「日本のプラントベース市場とくるみ素材の可能性」のテーマで、ONODERA GUROUPエグゼクティブシェフの杉浦仁志氏が「“レシピブック完成記念”『くるみ×プラントベース食材のおいしいペアリング』」のテーマで、それぞれ講演する。

カリフォルニア産クルミは、プラントベースで栄養密度の高いスーパーフードといわれ、健康の維持・増進に必要な成分が豊富に含まれて、必要な栄養素をバランスよく補給することができると評価されてきた。オメガ3脂肪酸、抗酸化物質(ポリフェノール、メラトニン)、ビタミン、ミネラル、タンパク質や食物繊維など、体に良い成分や栄養素が豊富に含まれている。クルミを食べると、認知機能試験の点数が上がる可能性があることがわかっている。

また、毎日摂取することで、心血管疾患の危険因子が低減する。クルミの摂取量の増加と、2型糖尿病のリスク低下には関連性があることも明らかになった。がんを予防する食物として、クルミを健康的な食事の中に取り入れるべきであるとの報告もある。1日に、ひとつかみ(7~8粒=30g)の摂取が推奨されている。

ここ数年は惣菜・デリ、ミールキット、冷凍食品などの分野でもカリフォルニア産クルミを使った商品が続々と出てきている。カリフォルニア産クルミの需要増加とともにあらゆるカテゴリーで開発が盛んだ。

大手CVSのファミリーマートやセブンイレブンではクルミを使用したおにぎり、いなり寿司が登場。SMでは東武ストアの太巻き寿司やクイーンズ伊勢丹のパスタやポタージュスープといった惣菜や冷凍食品にも広がっている。さらに最近では、ミールキットを展開するOisixのヴィーガンブランド「Purple Carrot」で、クルミを使った定番・季節商品として展開されている。

カリフォルニア産クルミの主な実需者は、6割以上が製菓・製パン向け、3割が小売の市販向け、1割が惣菜や佃煮向けなどだという。同協会は今後惣菜分野での販路を拡大するため「かけるだけ、混ぜるだけ、つぶすだけ」をコンセプトにメニュー提案を進めている。同時にプラントベース市場も狙う活動を展開していく。

22年に開催したファベックス東京、同関西に同協会が出展し、プラントベースは大豆ミートだけではないと、今回実施するセミナー講師の一人、杉浦シェフがクルミを使った惣菜を開発、提案した。大豆ミートとクルミを合わせたくるみハンバーグは来場者の注目を集めた。

クルミは、ひき肉のような食感と香ばしさがあり、代替肉として優れた食材だという。またクルミには油分が含まれているため、これを加えることでパサつきが抑えられ、栄養価もプラスされて付加価値を高めることができる。

食品業界では同等の話題として扱われることも少なくないサステナビリティ、SDGs、プラントベースについても、「カリフォルニアくるみ」は業界を挙げて取り組んでいる。クルミの殻はエネルギー資源、研磨剤として、外皮は肥料として利用されている。(小島麻由美)

〈“くるみ”を活用したプラントベース製品・メニュー開発セミナー概要〉▽開催日時=11月22日(火)午後2時~3時30分▽会場=服部栄養専門学校(ANNEX別館3階)▽参加費=無料▽会場申込期間=11月21日まで▽オンライン参加申し込み=セミナー終了まで▽会場参加定員=50人(先着順)▽主催=カリフォルニアくるみ協会▽後援=日本惣菜協会、米国農産物貿易事務所▽問い合わせ=カリフォルニアくるみ協会、電話03・3221・6488、Email=contact@kurumi-jp.org▽申し込み先=https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_kP8O-m7SRDGSvuoHZ1VckQ

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