重野和稔著『飲食業界 成功する店 失敗する店』すばる舎刊

外食 新刊紹介 2020.02.03 12008号 06面

飲食業界では、新規出店の約3割強が1年以内に閉店、5年で約8割が消えていくといわれる。その背景には、参入障壁が低いため他店との競争が激しい、原材料費や店舗賃料の値上がり、人件費が高騰しているという構造的な問題に加え、外食する人が減っているといった状況もある。実際、2019年の飲食店倒産件数は、過去最多を更新するだろうというデータもある。

著者はそんな逆風の飲食業界で、200店舗以上の出店に携わり、今では直営店の7割を10年以上、プロデュース店の8割を5年以上の繁盛店にしている。飲食業界に参入するまで勤務していた銀行、不動産会社の経験と、直営店の成功、失敗の経験から、繁盛店とつぶれる店の違いを徹底的に追求してきたというのだ。

本書は、著者が携わった和食、うどん、そば、イタリアン、洋食、中華、ラーメン、居酒屋などそれぞれ異なる業態の中から精選し、なぜ成功したのか、なぜ失敗したのかを具体的なエピソードを挙げながら解説している。そして、「店舗コンセプトの立て方」「メニューのつくり方」「人材育成のやり方」「コスト管理の方法」など具体的な対策を示す。

また、融資や経営を安定させる「事業計画書の作成法」、万が一の際の「撤退のシナリオ」まで公開している。

「これから独立してお店を始めようと思っている方、すでに開業している方、飲食店の世界を知りたい方のお役に立ちたい」という、飲食業界を愛する著者の経営ノウハウはリアリティーに満ちている。

すばる舎、初版刊行2020年1月18日、四六判、216ページ、1600円(税別)。

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