新型コロナ:ビール類、新ジャンル健闘 存在感高まる家庭用
新型コロナウイルス禍で業務用のビール類市場が大きな打撃を受ける中、家庭用を中心とする新ジャンルが健闘している。メーカーが投入した新機軸の商品が好調に受け入れられているほか、前年比で2桁の伸長を見せる既存ブランドもある。予期せぬ新型コロナ禍でビールが苦境に立つ一方、新ジャンルは複数社が前年実績を超えるなど堅調な動きだ。3月単月のビール類実績は樽、瓶といった業務用が2桁減ともいわれ、業務・家庭用の両市場トータルで1割超の減少と極めて厳しい状況に置かれている。今期年初からメーカーがビールに次ぐ注力を表明してきたのが新ジャンル。10月に酒税の増減税による価格上昇を控え、新商品で顧客の取り込みを進めるとともに、自社ブランドの価値を高め競争力をつけておきたい考えがある。
新ジャンルの伸びを支えるのが、各社の新商品だ。サッポロビールが2月に発売した「GOLDSTAR」が1ヵ月で100万ケース(大瓶換算)、3月発売のアサヒビールの「ザ・リッチ」は2週間で同量を販売するなど、ともに年初に掲げた計画達成に向け好調なスタートをきっている。
「GOLDSTAR」は「黒ラベル」「ヱビス」で培った知見を生かしたうまさ、「ザ・リッチ」は“プレミアムビールのような”ぜいたく感といった、従来の新ジャンルにはなかった切り口や魅力が支持されているもようだ。
これら新商品だけでなく既存品にも前年比2桁の増加を示すブランドもあり、ビール類内における新ジャンルの比率を高める要因となっている。
こうした伸びの背景には商品力や各種施策の奏功に加え、巣ごもり需要による家飲みの増加もあるとみられる。緊急事態宣言の発令が業務用に限らず酒類に対する消費マインドに影響を与えるのは確実視される。4月以降は一層予断を許さない状況が続くとみられ、各分野の市場動向に注視が必要だ。(丸山正和)