キリンビール、高収益RTD創出 野菜で健康需要対応
キリンビールは、高収益のRTDカテゴリーの創出に乗り出す。フルーツと野菜を使ったスムージーのような質感を持つ新たなカクテルRTDブランド「ベジバル」を15日に発売する。250mlの広口ボトル缶入りで、229円(税込み)を想定する高単価アイテム。新型コロナウイルスの感染拡大で広がる健康ニーズへの対応を図るとともに、高い収益を生み出す商材として訴求していく。(丸山正和)
8月31日「野菜の日」に東京都内で会見した山形光晴常務執行役員マーケティング部長は、今後も成長が確実視されるRTD市場に関し、「付加価値をもった高収益品を提供するのはキリンの使命」と説明。「ベジバル」について「生活者の健康志向は今後も変わらないニーズ。体によさそうな素材感を求める層に提案する」と狙いを述べた。
「ベジバル フルーツ&ベジの特製カクテル」は「オレンジmix」をはじめ「レッド」「グリーン」をラインアップ。従来の果汁系RTDとは一線を画し、ピューレやペーストといった繊維を含んだ原料を使っているのが特徴だ。野菜汁・果汁は最大33%使用。アルコール分4%。今回を第1弾として、色に着目したシリーズ展開を視野に入れる。
RTDは今秋から26年まで続く段階的な酒税改正の対象外。競合とされるビール系新ジャンルは増税が続くため、RTD市場は26年に19年比で1.4倍に拡大する見込み。酒類では希少な成長市場だが、流通層を含め単価や収益性の下落を懸念する声もある。
キリンは、22年までに75億円を投資した仙台工場でのRTD製造の設備増強を決めており、「氷結」「キリン・ザ・ストロング」「本搾り」の主力3本柱の育成に力を注ぐ。一方で新たな価値をもったブランドの投入で、さらなる間口と飲用頻度アップに挑む方針だ。