酒税改正で焦点のRTD 各社が新たな価値提案

酒類 ニュース 2020.10.23 12135号 01面
アサヒが20日から販路を拡大した「ザ・レモンクラフト」(写真は極上レモン)

アサヒが20日から販路を拡大した「ザ・レモンクラフト」(写真は極上レモン)

キリンの「ベジバル」はスムージーのような繊維感が楽しめる(写真はオレンジmix)

キリンの「ベジバル」はスムージーのような繊維感が楽しめる(写真はオレンジmix)

 酒税改正に伴い市場構造が変わっていく中、ビール大手を中心に現時点で増減税の対象外であるRTDへの注力が加速している。競合であるビール系新ジャンルとの価格差が広がることで数量規模の拡大が注目される一方、市場で着実な広がりを見せるのが、中身の素材や果実の香りにこだわった新たな価値の提案。飲用時に食感や香りを十分に楽しむため、広口のボトル缶を採用しているのが共通した特徴だ。(丸山正和)

 同じ広口ボトル缶でも商品のこだわりはそれぞれ異なる。キリンビールは9月からコロナ禍による健康意識の高まりに対応し、原材料に果実と野菜を使った新ブランド「ベジバル フルーツ&ベジの特製カクテル」の展開をスタートした。酒類のRTDでは珍しいスムージータイプの中身に合わせ、容器に広口のボトル缶を選んだ。

 アサヒビールは20日からレモンの風味と香りを追求した「ザ・レモンクラフト」の販路を全国の主要CVSへと拡大した。市場の主流であるレモンフレーバーながら、5種のレモンを使い、果皮に含まれるオイル成分を高速で一缶ずつ直接注入する独自の製法技術を同社で初めて採用。レモンの香りをできるかぎり封じ込めた。商品名のように手づくり感あふれる中身となっている。

 「ザ・レモンクラフト」は4月にセブンイレブンで先行発売したところ、当初メーンターゲットに据えた30~50代の男性に加え、20代の若年や女性といった多様な層に好評を得た。今回、販路を広げることで、年末の需要期に向け拡販を加速したい考えだ。

 広口缶を採用した効果は大きく、「ベジバル」には「繊維感が楽しい」、「ザ・レモンクラフト」には「これまでのレモンチューハイとは香りが全然違う」といった驚きつつ好意的な感想が寄せられているという。

 価格面では「ベジバル」(内容量250ml、オープンだが229円を想定)、「ザ・レモンクラフト」(同400ml、希望小売181円)の2品とも一般的なRTDに比べると高めの設定。だが、中身へのこだわりに加え、蓋付きで自分のペースで飲めるということも評価され、週末や休日にゆっくり楽しむ“ご褒美チューハイ”として受け入れられているもようだ。

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