RTD市場、レモンサワーブームに拍車 卸も参戦、多彩さ増す

酒類 ニュース 2021.02.15 12187号 01面
同フレーバーでも着想、原料、製法、容器で多彩だ

同フレーバーでも着想、原料、製法、容器で多彩だ

 業務用ビールを中心に苦戦を強いられる酒類市場で、21年もさらなる躍進が確実視されるのがRTDだ。中でもメーカー各社が力を注ぐのがレモンサワー。居酒屋から火が付いた“レサワ”ブームだが、家庭用でも継続中。もともとレモンはRTDの主流であり、各社の蒸留やブレンドといった、酒造りの技術やこだわりが投入された商品が多い。今春には卸のオリジナルも登場するなど、さらに多彩さを増す。コロナ下で増える家飲みを起点にして、レモンサワー人気にあらためて拍車がかかりそうだ。(丸山正和)

 20年のレモンサワー市場のけん引役を自認するサントリー。現時点では大手で唯一RTD単独の今期方針発表を行っており、今春は主力ブランド「-196℃」から新シリーズの一つとして「同〈ザ・まるごとレモン〉」を投入する。果実をまるごと瞬間凍結させる-196℃製法で生み出したすっきり甘くない味わい。ここ数年訴求を続ける“食事に合う”RTDの新定番と位置付ける。

 昨年大幅に伸ばした「こだわり酒場のレモンサワー」は通常品と高アルの「同〈キリッと男前〉」に加え、居酒屋の工夫を再現した「同〈追い足しレモン〉」を今春拡充する。ベースの焼酎にレモンの蒸留酒と浸漬酒、果汁を独自技術でブレンドし店の味を徹底追求している。

 「氷結シチリア産レモン」を中心に多彩なラインアップを展開するのがキリン。甘くない「氷結無糖レモン」2種のほか、特製の「レモンエキス」を使った「麒麟特製レモンサワー~追いレモン潤沢仕立て~」も昨年来好調に推移している。

 同社のRTDで初めて「麹」を使い注目されているのが「麹レモンサワー」。麹で引き出されるレモンのうまみが感じられ、素材へのこだわりや品質感が支持されている。

 容器にも気配りし好評なのが、アサヒの「ザ・レモンクラフト極上レモン」。5種のレモンを使い、果皮のオイル成分を直接注入する独自の製法技術で、レモンの香りを缶に封じ込めた。広口のボトル缶入りなので、香りを十分に楽しめ、自分のペースで楽しめるご褒美チューハイとして女性にも人気だ。

 すっぱさをキーワードにするのがサッポロが3月に発売する「濃いめのレモンサワー」。シチリア産手摘みレモン果汁とレモン漬け込み酒を使用。しっかりすっぱい濃いめの味わいとすっきりした後味を両立している。

 衰えないレサワ人気に、メーカーだけでなく卸売業も動く。食品卸トップの三菱食品が同社のロングセラー・チューイングキャンデー「かむかむレモン」とコラボした「かむかむレモンサワー」を3月に投入する。甘みと程よい酸味の絶妙なバランスに仕上げ、菓子の味わいを酒として再現した従来なかった新機軸のレモンサワーとなっている。

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