日展協、東京ビッグサイト使用問題 4兆円失われる
日本展示会協会(日展協)は7日、「東京五輪」「新型コロナウイルス感染問題」「東京五輪延期」というトリプルパンチを受け、展示会事業そのものが存亡の危機に立たされていると表明した。特に首都圏のメーン会場となる東京ビッグサイトの扱いをめぐり最長32ヵ月間使用できない場合、13万社以上の企業が影響を受け、約4兆円の売上げが失われるとしている。
当初、東京ビッグサイトは東京2020大会のプレス報道センターとして使用するため、東館を中心に19年4月から20年11月まで延べ20ヵ月にわたって利用制限を受けていた。
日展協はこれによって主催者、支援企業、出展社合わせて8万3000社以上が約2兆5000億円の売上げを失うと試算している。
また今年に入って確認された新型コロナウイルスの影響により、多くの人が参集するイベントは次々と中止を余儀なくされ、さらなる痛手となっている。2月下旬以降だけでも約350の展示会が中止・延期となった。
一方、東京2020大会終了後の今年12月からは、東京ビッグサイト全館が使用できるとして、多くの展示会がすでに開催を発表、出展各社との契約を済ませている。これらの展示会が予定通り開催できなくなれば、大きな補償問題となることが危惧される。
先日発表された東京2020大会開催1年延期に伴い、東京ビッグサイトの各展示場が今年12月以降もIBC(国際放送センター)、MPC(メーンプレスセンター)として据え置かれ、当初予定の展示会が開催できなくなった場合、主催・支援企業と出展社を合わせてさらに5万社が約1兆5000億円の売上損失を被ると予想され、日本の展示会業界はトリプルパンチの打撃を受けることになる。
当初予定の20ヵ月利用制限に新たに12ヵ月が加わると13万社以上が影響を受け、約4兆円の売上げを損失する。(表参照)
日展協は今回の問題を単に「展示会・見本市会場や展示会産業だけの問題」ではなく、「日本経済の活性化と発展の問題」「中小企業の救済策」と大局的にとらえ、通常通りの展示会・イベントが開催できるよう要望書を作成し、関係各方面に働きかけるとしている。(三輪周二)