サプリメント的オイル、ブームから定着へ 第3の付加価値分野に

 アマニ油やエゴマ油など、健康目的での継続摂取を核とする“サプリメント的オイル”が、ブームから定着へと移行している。15年の報道以降、食用油屈指の注目分野となった同市場だが、19年は家庭用規模で200億円を超え2桁増を記録した。今春は新型コロナによる節約志向の影響も危惧されたが、免疫力への関心や健康志向などを背景に順調な出足。オリーブオイル、ごま油に続く第3の付加価値分野として小売サイドでも有力商材とみている。=関連記事5面(村岡直樹)

 家庭用食用油では近年、カテゴリー構成比(油種別構成比)が大きく変化。キャノーラ油など汎用(はんよう)油分野に代わり、高価格帯の付加価値分野が全体をけん引する構図が続く。これに伴い1100億円前後であった食用油全体の市場規模も跳ね上がっており、19年度は1500億円を突破して、過去最大となった。

 この状況下、サプリメント的オイルは独自の健康価値により、食用油に対するイメージの好転に大きく機能。オメガ3などの含有成分の認知向上もあり、“積極的な”継続摂取需要を具現化した分野に位置付けられる。これらの市場変化は国内食用油史上でも過去に類を見ないものであり、かつて市場を席巻したトクホオイル以上のインパクトとなっている。

 また「揚げる」「炒める」など汎用性に優れたブレンドタイプも、相次いで商品化が続いている。内食需要が継続する可能性が強い中、日常的な料理に活用できる手軽なブレンドタイプは裾野拡大に有効となる。仮に純正品との相乗効果につながれば、ごま油に匹敵する300億円の大台も射程圏内だ。

 20年度は節約志向の影響が危惧されたが、免疫力への関心などを追い風に順調な出足。MCT(中鎖脂肪酸油)など伸びしろ十分な期待分野も抱え、秋以降は東京2020大会に向けたスポーツ志向に乗る可能性もある。トレンド性は抜群なことから、的確な啓蒙(けいもう)活動が潜在需要に合致すれば、国内食用油の歴史に名を残す成長市場となりそうだ。

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