ヘルシーオイル特集

◆ヘルシーオイル特集:健康な食生活を支援 ブームから定着へ

乳肉・油脂 2021.06.16 12244号 05面
アマニ油・エゴマ油などは「サプリメント的オイル」として新市場を確立した

アマニ油・エゴマ油などは「サプリメント的オイル」として新市場を確立した

 ◆サプリメント的オイル、屈指の“伸びしろ分野”

 長引くコロナ禍の影響で従来以上に健康・免疫力ニーズが顕在化している中、健康価値に優れたヘルシーオイルが生活者の健康な食生活を支えている。同市場は20年、特に上期での供給優先体制へのシフトや販促自粛などで前年を割ったが、依然として食用油屈指の注目カテゴリーとして売場を構築。中でもアマニ油やエゴマ(しそ)油など素材由来型の“サプリメント的オイル”はブームから定着に移行し、健康目的での継続摂取や和洋中を網羅する生使いなど食用油の“伸びしろ分野”として位置付けられる。(村岡直樹)

 本紙では「ヘルシーオイル」の定義として、既存のトクホ・機能性表示食品などの健康オイルに加え、健康を目的とする継続摂取に適するアマニ油やエゴマ油、ココナツオイルやMCTオイル(中鎖脂肪酸油)などのサプリメント的オイル、さらに栄養・健康価値を主たる特性としている一部食用油商品を範囲とする。

 サプリメント的オイルは近年、食用油への健康価値の見直しを背景に市場規模を拡大。15年の報道を契機に一躍注目のジャンルとなったが、天然素材由来の健康・美容価値はそれまでの食用油に対する誤ったイメージを大きく好転。この点において同市場は、現在の家庭用規模伸長の立役者と言っても過言ではない。

 20年の家庭用同市場は前述の理由により約9%減となる190億円で着地(以下市場規模数値はすべて本紙推定)。その中で、アマニ油は大幅減を強いられたが、102億円と依然100億円以上の規模をキープした。穀物系油種として高い認知を得ているほか、さまざまな調味料にも原料として使用されるなど着実に裾野を拡大。21年も市場のけん引役として高い配荷率を継続しそうだ。

 エゴマ油も約7%の55億円と、販促機会の減少を考慮すると、高い需要をキープしていると考えられる。アマニ油ともに体内で生成できない「オメガ3」脂肪酸を豊富に含むことで知られ、主に生使いでの用途が軸だが、加熱用途(炒める、揚げるなど)にも適するブレンドタイプやドレッシングアイテムなども登場し今後、さらに間口は拡大すると考えられる。

 ボリュームは発展途上段階なものの、注目分野に位置付けられるのが、MCTオイルだ。ココナツなどのヤシ科植物に含まれる天然成分で、消化吸収がよく、速やかに分解して「エネルギー」になりやすい。

 また、東京2020大会開催を背景にスポーツ需要を取り込むことが予想され、さらに美容ニーズにも対応していることから、急速な規模拡大の可能性も。世界的な観点からもMCTの有用性は高く評価され、18億円と倍以上に伸長した20年に続き、21年も成長基調が見込まれる。

 トクホや機能性表示食品で構成される健康オイル市場は99年、花王のトクホオイル「エコナ」で市場が本格形成した。一時は家庭用食用油市場の約2割(当時)を占める200億円にまで規模を拡大させたが、同品の終売以降急激に減少。現在は20億円強(本紙推定)にまで縮小している。

 ヘビーユーザー中心の市場として19年は特筆すべき大きな動きは見られなかったが、20年は新型コロナ感染拡大による健康志向・免疫力への関心を背景に、制度型商品の見直しが一部顕在化。今春はトップの日清オイリオが2品リニューアルしたこともあり、通年では安定して売場を堅持することが濃厚だ。国の認可・登録を受けた制度型商品として存在意義は高く、内食需要に対応する汎用性にも優れることから、今後も安定傾向は続くと推定される。

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