ポッカ、ヴァージンコーラキャンペーン
(株)ポッカコーポレーション(名古屋市東区、052・932・1473)とヴァージン・グループ(本社=英国)は「ヴァージン・コーラ」の日本での定着、コーラ市場でのシェア拡大を目指して、キャンペーン「WHY NOT?」の始動を発表した。「五年後に一〇〇〇万ケース規模のコーラに育成し、日本国内のコーラ市場の五%のシェア」(ポッカ谷田利景会長)を目指し、「WHY NOT?」とヴァージン・スピリットを象徴したメッセージで、コーラのメーンターゲットである若者へ「ヴァージン・コーラ」を強力にアピールしていく。
コカとペプシに挑む、コーラ戦争の手強い勢力に
日本のコーラ市場は「コカ・コーラ」の独占状態だが、昨年から「ペプシコーラ」の販売をサントリーが開始、積極的な販売攻勢で「ペプシコーラ」のシェアが徐々にアップ。迎え撃つコカ・コーラも今春から「ココロが踊り出す。「コカ・コーラLive the Moment」キャンペーンをスタート、大規模な広告・販促活動で販売を盛り上げている。この清涼飲料業界首位のコカ・コーラと、二番手につけるサントリーのコーラ対決に今春、ポッカが参戦したもので、「ヴァージン・コーラが日本で成功するために、コカ・コーラとペプシコーラに戦いを挑むのを考えると胸が踊る」(ヴァージン・グループのリチャード・ブランソン会長)とチャレンジスピリッツを明らかにし、「ヴァージン・コーラはコカやペプシよりおいしい。ヴァージンのブランド力、楽しさ、新しさ、挑戦性を支持してくれる消費者に高品質の製品を届け、日本のコーラ戦争における手強い勢力となるだろう」(同ブランソン会長)とコメント。
世界戦略でも「ヴァージン・コーラ」の世界出荷量は二億缶、「イギリスでのマーケットシェアはペプシの一〇・五%を抜く一三・二%。フランスも同様で、二・三年のうちにナンバー二のブランドにしたい」(同会長)考えだ。
ポッカのイメージ若返
り・販路拡大も期待
「コカ・コーラやペプシコーラはもう古い。ヴァージンのイメージを生かし、若者に受け入れられると確信している」(ポッカ谷田利景会長)といい、さらに「ヴァージン・ブランドを活用し、ポッカに対する若々しいイメージを浸透させるとともに、飲料事業の拡大」(同・内藤由治社長)も期待している。
ポッカが保有する約一五万台の自販機および流通網を活用し「ヴァージン・コーラ」を販売、さらに全国二〇ヵ所で展開が予定されているヴァージン・シネマ(4月23日に第一号店が福岡でオープン)で「シロップ」ビジネスもスタートさせた。「ヴァージン・コーラ」を主力商品に、「コーヒー」「炭酸飲料」「無糖濃縮飲料」など九アイテムを品揃え、販売していく。さらにヴァージン・アトランティックへの飲料提供など、ヴァージン・グループとの提携により販路拡大が急ピッチで進んでいる。
若者ターゲットに
販促活動強化
広告・販促活動として、「WHY NOT?」の統一メッセージで、キャンペーンやCMなどを展開。その第一弾を4月23~25日の三日間、新宿ステーションスクエアで実施した。ギネス級の巨大自販機(高さ七m、幅四・〇五m、奥行き四・二m、総重量五t)を設置し、サンプリングや、ゲームなどを行い、消費者へヴァージン・コーラを強力にアピール。夏に向けて展開してく第一弾のイベントとして話題を提供した。
他に、ヴァージン・アトランテック航空、ヴァージン・メガストア、ヴァージンシネマ、V2レコードなどとのタイアップを通じて革新的なプロモーション、販売も実施していく予定。
チャレンジ精神溢れる革新的なスピリットに共感
「ヴァージン・コーラ」は、円高を追い風に輸入コーラが脚光を集めていた九五年に日本市場へ参入している。当時は大手量販店と手を組んで販路を確保したものの、いつの間にか、売場から姿を消し、昨年までヴァージン・グループの店舗で細々と販売されていた。
自販機、販売ルートが欲しいヴァージンと、強いコーラブランド、ヴァージンシネマなどの新販路や、イメージの若返を狙うポッカの、両社の事業拡大の思惑が一致。さらに「ヴァージングループの不屈のチャレンジスピリッツ・時代を切り拓く先取性は、当社にぴったりの企業風土」(ポッカ内藤社長)を有しており、「昨年合い、はじめから意気投合」(ブランソン会長)。今年1月29日に業務提携し、共同事業の展開の第一弾として(株)ヴァージン・コーラ・ジャパンと協力して「ヴァージ・コーラ」を今年3月1日からポッカが製造・販売を開始した。
今後の注目は「ヴァージン・コーラ」が日本市場に根付くかどうかだ。「広告費は両社合わせて少なくとも五億円を計上している」(ポッカ谷田会長)と語るが、清涼飲料業界にとって五億円は、巨額とはいえない。しかしヴァージン・グループの資産を活用し行うプロモーションは他の清涼飲料メーカーにはできない戦略だ。
「五年後一〇〇〇万ケース規模を達成するのは大変だ」(他社メーカー)とする見方もあるか、はたしてどうなるのか。今後の展開を見守りたい。