マグロは「48時間熟成」が最も美味 くら寿司と東京大学院が共同研究

研究結果から、熟成時間を変更したくら寿司の「極み熟成まぐろ」(100円・税抜き)

研究結果から、熟成時間を変更したくら寿司の「極み熟成まぐろ」(100円・税抜き)

くら寿司と東京大学大学院農学生命科学研究科「健康栄養機能学」社会連携講座・日本食品化学研究所は、「おいしいものは、体にいい。体にいいものはおいしい」をテーマに共同研究を行った。その第1弾として、「熟成まぐろ」の研究結果が、このほど発表された。

くら寿司の「熟成まぐろ」は、年間7000万皿売り上げる人気メニューだ。この熟成まぐろのおいしさを、科学的なアプローチで数値化し、さらなるおいしさを追求しようというのが今回の試み。同研究所にあるうま味成分を分析する機器を用いて、「グルタミン酸」と「イノシン酸(IMP)」の2種類のうま味物質を測定した。

研究結果から、熟成時間を変更したくら寿司の「極み熟成まぐろ」(100円・税抜き)

人間は太古の時代、大型肉食動物が獲物を食べた残りの屍(し)肉を、夜間に食していた。それゆえ、実は人間は死後、時間が経った肉をおいしいと感じる動物なのだ。魚も同様で、新鮮であるほどおいしい、というイメージがあるが、そうではない。

人間が新鮮な刺身をおいしく感じるのは、醤油のアミノ酸成分のおかげで、新鮮な魚の身だけを醤油をつけずに味わうと、さほどおいしさは感じないという。人間が魚の身をおいしいと感じるには、腐敗しない程度にちょうどよく熟成させる必要があるのだ。

今回の研究では、まぐろを熟成させ、その経過時間と「グルタミン酸」と「イノシン酸」の数値を測定。グルタミン酸は時間経過とともに上昇するが、一方でイノシン酸はある程度の時間が経つと減少傾向になる。この2種類のうま味成分が最もバランスよく、高い数値になったのが「48時間」。

うま味成分の数値の変化

この研究結果を受け、くら寿司では「熟成まぐろ」の熟成時間を従来の36時間から、48時間へと変更した。

数年前から熟成肉ブームが起きているが、今後は熟成魚ブームが一気に広がるかもしれない。

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