庄田慎矢著『ミルクの考古学』同成社刊

 本書は遺跡・遺物に残る有機物や無機物から乳製品の痕跡を探り、人類がいかにミルクを利用してきたか、考古学の最新の研究成果をもとにアプローチする。
 考古学は「遺跡に残された物質的な証拠をもとに、過去における人間の営みについて研究する学問」(同書26ページ)だ。しかし、遺跡の発掘現場では動物の乳やその加工品が直接見つかることはまれ。そこで遺物を観察する「目に見えるものの考古学」に加えて、安定同位体比測定など「目に見えない考古学」である考古生化学の知見が重

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