低糖質商品市場、堅実な成長続く 食品カテゴリー拡大寄与

総合 ニュース 2019.11.15 11971号 01面
SM店頭では糖質オフの専用コーナー化も定着(東急ストア南町田店)

SM店頭では糖質オフの専用コーナー化も定着(東急ストア南町田店)

糖質オフ・ゼロなどの低糖質商品は市場へ定着を果たし、堅実な成長ペースで推移している。糖質オフの健康維持・増進効果に対する消費者認知度が年々上昇しているのを受け、今年も製配販の3層で取組みを強化する動きが活発化。かねて市場の課題だった食品カテゴリーの種類の少なさをカバーし、商品ジャンルや店頭での販促手法も着実に広がってきた。商品選択肢の多様化で今後も市場の伸びが見込める一方、購入側の商品やブランドに対する選別も進み、競争環境は厳しさを増してきそうだ。(篠田博一)

富士経済の調査によると、18年度の糖質オフ・ゼロ市場は前年比4.6%増の3514億円に拡大し、19年度は同2.8%増の3612億円へ伸びる見込み。生活習慣病予防やダイエットのニーズなどに加え、近年の「ロカボ」(緩やかな糖質制限)ブームがけん引する格好で堅調に拡大している。

市場の約9割を占めるとみられるアルコール系飲料の伸びが拡大に寄与しているほか、食品カテゴリーでも商品ジャンルの多様化が進み、従来の麺や菓子・パン類だけでなく調味料や冷凍食品、飲料などへ裾野が拡大。糖質オフと乳酸菌類など他の要素と組み合わせて、さらに健康訴求を強めた商品展開が増えたことも成長の追い風となっているようだ。

そうしたトレンドを背景に、小売や卸など流通業も低糖質商品の販売姿勢を強めている。CVSではローソンが12日から大麦原料の低糖質・食物繊維豊富なベーカリーの品揃えを拡充したほか、ファミリーマートは16年から開始したRIZAP監修商品のラインアップ強化を今秋も継続。セブンイレブンは9月から中食などオリジナル商品の栄養成分表示に糖質量の記載を始めるとともに、新たに「食・楽・健康協会」へ加盟したことから、今後、ロカボ対応を強化する可能性もある。

SMやGMSのドライグロサリーや日配商品(生麺など)売場では、糖質オフのコーナー展開や専用POPなどで訴求する動きも定着。小売業の専用コーナーの展開に一役買っているのが三菱食品の自社ブランド「からだシフト」シリーズで、店頭で集合陳列を組めるよう、この9月までにアイテムを62SKUへ増強(タンパク質商品を含む)している。

メーカーの商品開発や流通業の販売強化で低糖質商品の露出度が大幅に高まった一方で、今後は選ばれる商品になるための市場競争がより厳しさを増してくる。本紙調べでは昨年度の糖質オフの発売・参入件数は17年度比でほぼ倍増の勢いだったが、今年に入って終売や撤退の動きも目立つ。

市場の成長と整理淘汰(とうた)が並行して進む中、消費者が継続的に利用できる味の良さや使いやすさなど商品力の向上ほか、未開拓のカテゴリーにおける糖質オフ商品の開発など、新たな優位性の追求が不可欠になりそうだ。

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