新型コロナ影響:当面は供給リスク回避 メーカー、2~3ヵ月分の在庫確保

総合 ニュース 2020.02.21 12017号 01面

国内でも新型コロナウイルスの被害が拡大し、食品業界への影響が注視される局面だ。すでに中国産野菜の高騰で中食・外食向けなどの原料を代替品へ切り替える動きも表面化しているが、20日現在、多くの食品メーカーは2~3ヵ月先までの在庫を確保しており、当面は供給リスクを回避できる見通し。現段階で危惧されるのは原料不足や欠品などの情報が一人歩きし、不要な需給バランスの崩壊を招くことだ。製配販3層で現状把握へ緻密な情報共有を行い、サプライチェーンの混乱防止へ冷静な対応が求められる。=関連記事2面(篠田博一)

中国にグループ企業や協力工場の生産拠点を持つ冷凍食品や菓子、調味料、乳業などの食品メーカーは10日以降、順次操業を再開しているが、現地での人の移動制限や広範囲な物流停滞などでサプライチェーンに影響が発生。一部エリアの港湾の不稼働で日本への原料輸入が2週間遅れになるなど、混乱の渦中にある。

そうした中で、中国製造が主体となる玩具菓子の新製品の発売日延期や包材トレーの供給減、中国産キムチの品切れといった影響も一部では発生。事態の長期化を見越し、メーカー間では代替品の手当てを検討する動きも出始めている。

ただ、大半のメーカーは春節前に増産・手当てした原料や在庫を3~4月ごろ分まで保有。現地との長期契約に基づく在庫の確保や工場再稼働により、問題が想定以上に長期化しない限りは、供給面でそれほどの不安は抱えていない雰囲気だ。

大半で当面の供給リスクがないと見られる中、小売など流通業が不確定な情報に基づき先買いに走ると、マスクや消毒液のように一気に品不足になる危険性もある。このため卸は小売業へ日々更新されるメーカーや製品・原料情報の正確な伝達に努め、サプライチェーンで不要な業務負荷や混乱が発生しないよう尽力している。

国内で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、今後懸念されるのは消費への影響だ。今月第2週以降、食品業界では展示会やイベントの中止に踏み切る動きも出始め、インバウンド消費の減退に続きマイナス要素が相次ぐ。感染防止へ外出を控えたい消費者心理が働くなど、外食産業や大型商業施設などで販売が冷え込む懸念もある。一方で宅配や内食の増加が見込まれるなど、消費の変化に対応した取組みが重要性を増しそうだ。

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