プラントベースフード、日本では「植物性」前面のブランディングが最重要

金田郷史社長

金田郷史社長

 植物性原料を使ったプラントベースフード(PBF)や代替食が存在感を大きく高める中、食品企業の市場参入意欲が急速に強まっている。すでに欧米など海外では環境保護や動物愛護意識の高まりを受け、植物肉が生活の一部に定着しているが、日本ではまだこれから。植物肉専業ベンチャーであるグリーンカルチャーの金田郷史社長は、今後国内でPBF市場を定着させるポイントとして「代替」や「肉不使用」といった特徴ではなく、おいしさを第一に植物性の健康感を訴求する販促が重要と強調。企業は参入の際、海外のようなビーガン(絶対菜食主義者)対応ではなく、PBFの名称を前面に出すブランディングを行うことが最も有効になると考えを示す。(篠田博一)

 ●グリーンカルチャー・金田郷史社長「市場化には時間」

 7日、東京で開かれた食品産業文化振興会セミナー「プラントベースフード市場参入へ向け~食品メーカーが知らなければいけない知識~」で語ったもの。

 この中で、金田社長は食ビジネスの総合的な技術革新を目指すフードテックにおいて、「植物から畜肉を生産するPBFは圧倒的効率化という観点から、産業革命や情報革命に匹敵し得る最も重要な分野」とし、「食の産業革命になる」とPBFの持つインパクトを強調。

 植物肉が日常へ定着した海外の消費実態などの事例を詳細に紹介した上で、欧米などのビーガン・ベジタリアンとPBFのアプローチの違いも説明。「ビーガンはできるだけ動物を摂取しないコンセプトだが、PBFは植物をより多く取ろうという考え方。一見、同じようで視点の角度が違う。ビーガンが動物愛護や宗教的教義といった精神的目標なのに対し、PBFは健康増進や疾病予防などの身体的目標」(金田社長)と解説した。

 このためビーガンなどの数が少ない日本でPBFを展開する場合、海外と異なるアプローチを行うことの必要性を説明。肉の代替品や環境配慮、動物愛護などをセールスポイントにするのではなく、おいしさや味の良さなど品質の訴求・追求が最も購入動機を喚起できるとし、その上で「プラントベース=植物の良いイメージを連想できるブランディング」(同)が鍵を握ると強調。

 具体例としてパッケージでのPBFの全面訴求のほか、「植物生まれ」「植物のチカラ」といったワードは有効性があると説き、自社でも商品特徴を「ベジタリアン対応」から「プラントベース」に変更したところ、その月の流通量が1.2倍に増えた事例も紹介した。

 今後の市場予測として、国内でPBFが一般化するには早くて10年、通常で20年の期間を要するとの見解も示した。07年に登場したスマートフォンが普及率60%を超えるのに10年かかったこと、代替食の先駆けでもある豆乳がこの20年で1人当たり消費量を10倍へ拡大したことなどを参考に分析している。

 「すでにミートフリーの文化を持つなど、価値観が違う10~20代が消費の主役にスライドすれば市場は大きく変わる。PBFは長いスパンで見ることが必要で、将来は食品メーカーも無視して通過できない市場になるだろう」(同)と先を見据えた取組みの重要性を強調した。

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