緊急事態宣言、1都3県で再発令 業務用市場は存続の危機

総合 ニュース 2021.01.08 12169号 01面

 菅義偉首相は7日、東京都と埼玉、千葉、神奈川3県の首都圏を対象に、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言を再発令した。前回と異なり一斉休校の要請がなく、昨年の経験で生活者の購買行動も比較的冷静になるとみられ、SMなど食品流通の供給面に大きな混乱が生じる可能性は低そうだ。一方、今回の発令は飲食店の営業時間短縮を要請の柱とするため、業務用市場が致命的な打撃を被ることは必至。「飲食店と違って国の支援がない業務用卸や酒販店にとって、存続の危機」(業界筋)ともいえる深刻な局面だ。(篠田博一)

 ●今月展示会、中止相次ぐ

 緊急事態宣言の再発令を控えた5~7日、首都圏SMから卸への発注が変化した。前回の緊急事態宣言時に品切れした粉物やパスタ、冷凍食品、米飯、レトルトなどの商品を前年の1.5倍程度確保し、事態に備えて万全な供給体制を確立しようという動きだ。

 ただし、「昨春のように食品流通が品切れ騒動に振り回されることはないだろう」(複数の卸関係者)との見方が大半。今回は休校要請がないため子どもの食事を確保する必要がなく、消費者も過剰な買い占めによって売場へ逆に物が届かなくなることを学んだとみるためだ。ある大手卸の直近調査では「首都圏では6割以上の消費者が緊急事態になっても今までと購買行動を変えない」との結果を得ており、こうしたデータも参考に合理的な供給体制を組む考え。

 問題は飲食店の時短営業や休業が及ぼす業務用市場への深刻な影響だ。昨年は飲食店の倒産・廃業が過去最高を記録し、外食など業務用市場への供給を主体とするメーカーの業績不振が顕在化した。

 大手卸の業務用部門や業務用卸の今期売上げも3~4割減で推移する過酷な状況だ。飲食店の時短営業で店舗当たりの納入量が大幅に減る中、配送経費や作業量の調整に苦慮し、収益も深刻なレベルで圧迫されている。

 今回の緊急事態宣言では要請に応じた飲食店へ1日当たり6万円の協力金支給が決まったが、こうした保証がない業務用卸や酒販店、生鮮業者などにとっては存続の危機だ。事態収束後の業務用サプライチェーンの持続も視野に入れ、国は新たな支援策を投じることが求められる。

 食品業界主催の展示・商談会も相次ぎ中止が発表された。日本アクセスや旭食品などの大手卸は5~6日にかけて、今月開催予定だった展示会の中止を決定。緊急事態宣言は2月7日までを期限とするが、その後に予定される「SMトレードショー」など大規模展示会は業界の商機や雰囲気を左右するだけに、先行きが大きな関心事となっている。

最大30日間無料購読する

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら