食品経営者フォーラム、東京大学・木本昌秀教授が講演 「極端気象」状況にある

木本昌秀教授

木本昌秀教授

 日本食糧新聞社主催の食品経営者フォーラムは2月28日、東京都千代田区のニューオータニ東京で東京大学・大気海洋研究所教授・木本昌秀氏が「極端気象と地球温暖化」をテーマに講演した。現在地球温暖化によって「30年に一度起きるとされる『異常気象』ではなく、極端な高温・低温や強い雨など特定の指標を超える現象が何度も起きる『極端気象』状況にある」とし、「危険を事前に察知できる現在の気象技術を活用した情報で命を守るために危険回避に備える必要がある」と力説した。

 木本氏は「台風の進路予測は5日先まで予報してきたが、強さに関しても3日後まで出せるようになったために鉄道の運休など事前対策ができ昨年の台風19号では被害を低く抑えることができた」とした。

 ゲリラ豪雨に関しても「ピンポイントで予報可能となり事前に避ける情報が得られ、危険回避の計画が立てやすくなっている」と語った。

 「気候システムに対する人間の影響(地球温暖化)は明白である」とし、これ以上悪化させないためにも「ゼロエミッションの実現が必要だ」と述べた。

 ゼロエミッションの実現には、電気・ガスなどを使わない江戸時代の生活に逆行しなければならないが現実的ではないとした上で、トレードオフ対策として次世代を担う子どもたちへ「今までの世代が考えつかないような素晴らしい新しい技術で世界を変えてほしい」と希望をつないだ。そして、それらを結ぶためにより精度の高い気象情報を磨いていくことを約束した。

 食品界においては気象情報のよりよい利用効果として、アイスクリームやチョコレート、スポーツドリンクの需要予測により生産調整すると廃棄ロスが減り、原材料の適正発注など経済効果が1800億円(2017年日本気象協会試算)にも上ることを紹介した。(宇津木宏昌)

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