第54回食品産業功労賞受賞者決まる 特別1・生産8・技術2・流通3・外食2人を顕彰

総合 ニュース 2021.09.15 12292号 01面
8月5日に東京・紀尾井町のホテルニューオータニ東京で開かれた第54回食品産業功労賞選考委員会

8月5日に東京・紀尾井町のホテルニューオータニ東京で開かれた第54回食品産業功労賞選考委員会

左から大沼一彦氏、伊藤雄夫氏、村上秀徳氏

左から大沼一彦氏、伊藤雄夫氏、村上秀徳氏

左から殿村育生氏、小路明善氏、木下紀夫氏

左から殿村育生氏、小路明善氏、木下紀夫氏

左から吉田康氏、藤井幸一氏、永谷栄一郎氏

左から吉田康氏、藤井幸一氏、永谷栄一郎氏

左から加藤徹氏、築野富美氏、郡昭夫氏

左から加藤徹氏、築野富美氏、郡昭夫氏

左から妹川英俊氏、堀内達生氏、田中正昭氏

左から妹川英俊氏、堀内達生氏、田中正昭氏

佐伯保信氏

佐伯保信氏

●業界発展に貢献、功績たたえる 11月4日贈呈式 選考委、満場一致で選出

日本食糧新聞社制定・農林水産省後援による第54回(令和3年度)食品産業功労賞は、11月4日午後4時から東京・紀尾井町のホテルニューオータニ東京で贈呈式が開催される。今回は特別賞1氏、生産部門8氏、技術部門2氏、流通・情報部門3氏、外食部門2氏が受賞する。第54回食品産業功労賞選考委員会は8月5日午後3時から同ホテルで開かれた。全国8地域31人の既受賞者による推薦制度に基づき、関係業界と地区活動において選考基準にかなう候補者の推薦があり、選考委員会に上程された。それらの方々を含めて斯界の権威である選考委員による慎重な討議の結果、今回の受賞者が満場一致で選出された。食品産業功労賞は日本食糧新聞創刊25周年を記念して、わが国食品産業界の発展と隆盛に大きく貢献し偉大な功績を残してきた功労者の顕彰を目的として、昭和42(1967)年に農林水産省後援の下に制定した。第54回までに生産部門で334人、技術102人、流通185人、外食32人、特別賞18人の累計671人が受賞している。(安田陽子)

◆食品産業功労賞 選考委員(敬称略)

▽委員長=櫻庭英悦(農林水産省食料産業局元局長/高崎健康福祉大学客員教授)

▽選考委員=浅野茂太郎(明治ホールディングス元社長)、池田弘一(アサヒグループホールディングス社友)、歌田勝弘(味の素社元社長)、垣添直也(日本水産元社長)、國分勘兵衛(国分グループ本社代表取締役会長兼CEO)、正田修(日清製粉グループ本社名誉会長相談役)、田中茂治(日本アクセス元社長/伊藤忠商事理事)、中野勘治(三菱食品前会長)、茂木友三郎(キッコーマン取締役名誉会長・取締役会議長)、今野正義(日本食糧新聞社代表取締役会長CEO)

〈特別功労賞〉

●村上秀徳氏(むらかみ・ひでのり)

食品産業センター前理事長=1951年4月4日生まれ、熊本県出身。74年東京大学法学部卒、同年農林省(現農林水産省)入省。79年にはオックスフォード大学に留学し農業経済学修士を取得。84年から3年間在米国日本大使館勤務、その後米国との牛肉、オレンジ自由化交渉に携わる。2001年に国際部長。04年の総合食料局長、06年の農林水産技術会議事務局長兼農林水産大臣特別補佐官、農林水産審議官を経て09年農林水産省を退職。11年9月には在チリ日本国特命全権大使に。15年6月食品産業センター理事長に就任した。

食品産業界が抱える課題の一つである食品表示では、食品メーカーが計画的に対応できるよう見直しのルール化を要請、行政との橋渡し役として貢献した。時代を先取りした政策提言を目指すよう後任の理事長に託し21年6月に退任、現在は食品流通等合理化促進機構の会長。同年4月には瑞宝重光章を受章した。

〈生産部門〉

●伊藤雄夫氏(いとう・たけお)

イトウ製菓代表取締役会長=1952年9月14日生まれ、東京都出身。85年3月立教大学法学部卒業。73年9月イトウ製菓取締役、85年10月専務取締役、93年10月代表取締役社長、2017年6月代表取締役会長。

イトウ製菓の創業は52年。ビスケット専業メーカーとして多くのロングセラーブランドを展開。伊藤会長は、高付加価値商品として、2013年、原料と製法にこだわった高付加価値商品として「Confetti(コンフェッティ)」の展開を開始するなど、焼き菓子の新たな可能性に挑戦。

18年には、米粉など地産地消にこだわった原料を使用したバウムクーヘンなどを提供するカフェ併設の洋菓子店「アトリエ プティ・ボア」を、茨城県小美玉市に開業。

16年に全国ビスケット協会副会長、17年に会長に就任。会長として日欧経済連携協定(EPA)などの貿易協定に伴う、ビスケットの関税が段階的に引き下げ、撤廃されることに対しリーダーシップを発揮し、業界の実情を踏まえた、より実効性のある対策を広く訴えた。

●大沼一彦氏(おおぬま・かずひこ)

日東ベスト代表取締役会長=1951年5月25日生まれ、山形県出身。山形県立寒河江工業高校卒、70年4月日東ベスト入社。96年4月高松工場長、2002年3月天童工場長、03年6月取締役天童工場長、07年6月取締役生産副本部長兼天童工場長、08年10月常務取締役生産副本部長兼天童工場長、11年6月専務取締役生産本部長、13年6月代表取締役社長兼生産本部長、20年6月代表取締役会長(現職)。

入社以来、生産畑一筋を歩んできた。冷食をはじめ業務用食品の生産品目拡大および生産効率化に向けて積極的に設備投資を実施。14年に開設した山形工場では、雇用・職場環境改善のため、残業時間の低減などにも取り組んだ。17年にはベトナム市場向け日配惣菜製造・畜肉原料加工で双日と共同で初の海外工場進出。18年には乳・卵・小麦不使用の専用工場を建設し、学校給食向けアレルゲン対応食品の拡充を図った。高度な品質のモノづくり姿勢は、介護食の分野でも高く評価されている。また学校給食用食品メーカー協会会長を歴任し、学校給食の充実にも尽力した。

●木下紀夫氏(きのした・のりお)

シマダヤ代表取締役社長=1954年5月19日生まれ、東京都出身。78年3月獨協大学卒、島田屋本店(現シマダヤ)入社。98年4月チルド事業部長兼広域営業部長、同年6月取締役、2002年6月常務取締役生産本部長兼生産管理部長、04年4月常務取締役生産本部長、06年4月常務取締役営業本部長。同年6月代表取締役社長に就任。

入社以来、シマダヤの原点であるチルド麺のルートセールスから出発し、28歳で大宮営業所長、本社の企画担当を経てチルド事業部長、生産本部長など同社の幹となる各部門で活躍し、その豊富な経験と実績が買われてトップに抜てきされた。

社長就任後は、社員教育に力を入れながら、自らのトップ営業も含めて営業力の強化に取り組んだ。また、ゆでずに水でほぐすだけで食べられる「流水麺」の拡大や家庭用チルド麺市場で初の機能性表示食品「健美麺」の投入など、チルド麺や冷凍麺で常に時代のニーズを先取りした提案を行い、市場の価値向上に尽力している。

●小路明善氏(こうじ・あきよし)

アサヒグループホールディングス取締役会長兼取締役会議長=1951年11月8日生まれ。75年4月アサヒビール(AB)入社。2003年アサヒ飲料常務取締役企画本部長、07年AB常務取締役兼常務執行役員人事、財務、お客様生活文化研究所、総務法務、社会環境推進担当、11年アサヒグループホールディングス(GHD)取締役兼AB代表取締役社長、16年アサヒGHD代表取締役社長兼COO、18年代表取締役社長兼CEO、21年から現職。

アサヒビール社長在任中に4期連続の増収増益を達成。「スーパードライ」のブランド資産最大化、ビールテイスト飲料や洋酒など総合酒類への取組み強化を通じ、縮小する酒類市場の活性化に大きく貢献した。アサヒGHD社長としては、30年ぶりにグループの経営理念を一新し、世界中の社員との共有を促進。中東欧と豪州のM&Aによって海外比率を飛躍的に向上させ、グローバルな三極体制を構築した。17年に売上収益2兆円を実現し、EBITDAとあわせ世界のビール大手で第3位の規模に押し上げた。

●殿村育生氏(とのむら・いくお)

カステラ本家福砂屋代表取締役社長=1951年8月10日生まれ、長崎県出身。76年慶應義塾大学法学部政治学科卒、同年福砂屋入社。85年同社専務取締役、2002年同社代表取締役社長就任。

寛永元年(1624年)創業以来、長崎カステラの元祖として、その製法を家伝伝承し、現在に至っている。手作りによる一人一貫主義で、この古法による「手わざ」を継承育成し、本家としてカステラ文化の創造、普及、発展を支えてきた。

カステラは16世紀半ばポルトガルからもたらされ、東洋と西洋の文化が交流し合った結果のたまもの。同社ではこれを日本人に合う和菓子として誕生させた。

2019年、長崎県で社員に対する健康増進、改善への取組みが評価され、「健康経営推進企業」として認定された。2008年九州銘菓協会会長。

●永谷栄一郎氏(ながたに・えいいちろう)

永谷園ホールディングス代表取締役会長=1954年8月26日生まれ、東京都出身。78年3月慶應義塾大学経済学部卒、79年4月永谷園本舗(現永谷園ホールディングス)入社。96年6月代表取締役社長、2008年6月代表取締役会長に就任。

開発部門を担って新たな顧客価値の提案、カテゴリー創出で先駆けてきた。1987年発売の「チャーハンの素」、89年の「おとなのふりかけ」開発などに携わり、具入り、高級素材で大人向けといった商品力で優秀ヒット賞に輝いた。今もトップブランドとして市場をけん引する。

創業の品である「お茶づけ海苔」は社長就任の翌年の97年、食べる姿を映すだけの「ただいまお茶づけ中」CMを投下。消費を急増させて単体の過去最高業績を達成した。ほか「あさげ」「松茸の味お吸いもの」などの基幹商品も若年層を開拓。市場と食文化を継承してきた。功労賞は創業者で祖父の永谷武蔵元会長、父の嘉男名誉会長の3代連続受賞。ブランディングを深め、企業理念の「味ひとすじ」をつなぐ。

●藤井幸一氏(ふじい・こういち)

サンマルコ食品代表取締役社長=1950年7月13日生まれ、札幌市出身。74年法政大学社会学部社会学科卒、同年北海道ガス入社、93年サンマルコ食品入社。98年専務取締役、2002年代表取締役社長に就任している。

サンマルコ食品のルーツは祖父である藤井作次郎氏が明治時代から北海道旭川市で手掛けてきた豆菓子製造・販売業。その後、札幌での北誉豆製菓を経て、父である幸男氏が1979年にサンマルコ食品販売(当時)を創業。98年に現在のサンマルコ食品へ社名変更し、2002年に長男の幸一氏が代表取締役社長就任。常に「北海道らしい味」にこだわり、原料調達から製造、出荷に至る一貫体制でおいしさと安全・安心を追求。羊蹄山の麓で取れる男爵イモでつくった「男爵コロッケ」などのヒット商品を生み出すなど、冷凍コロッケの製造・販売では全国トップクラスの会社に成長させ、冷凍食品業界の発展をはじめ地域経済の活性化に大きく貢献してきた。

●吉田康氏(よしだ・やすし)

ブルボン代表取締役社長=1955年5月24日生まれ、広島県出身。79年3月名古屋大学農学部卒、同年4月北日本食品工業(現ブルボン)に入社。87年取締役第二製造企画部長、89年7月常務取締役営業部兼第二製造企画部担当、90年2月代表取締役専務、92年10月常務取締役、96年1月代表取締役社長就任。

同社は関東大震災の翌年、創業者が地方発で災害時に役立つ企業として事業を興した。吉田氏は4代目社長として災害や社会的困難が起きた時にお役に立てる企業であり続けるという創業の精神を引き継ぐ。菓子事業では、ビスケットで国内トップの地位を確立し、業界発展にも貢献。水事業やチルド・冷菓といった全温度帯、食品全般を推進。“心と体の健康づくり”に寄与する健康増進総合支援企業として、文化・芸術やスポーツ活動を支援し、食を通じた社会貢献に力を注ぐ。

社外ではブルボン吉田記念財団理事長、全国ビスケット協会副会長、健康ビジネス協議会会長など、多くの役職を歴任。2018年に藍綬褒章を受章した。

〈技術部門〉

●郡昭夫氏(こおり・あきお)

ADEKA相談役=1948年12月21日生まれ、福岡県出身。71年3月早稲田大学政治経済学部卒、同4月旭電化工業(現ADEKA)入社。2005年6月執行役員食品企画部長、08年6月取締役兼執行役員食品本部長、10年6月取締役兼常務執行役員経営企画部長を経て、12年6月代表取締役社長に就任。18年6月代表取締役会長、20年6月相談役(現職)。

加工油脂大手として世界トップ級の技術力を駆使し、豊かな食生活に尽力した。トップ就任後、事業拡大に向けて高い経営手腕を発揮したほか、グループ経営強化やコア技術深耕も進めた。円安や原料高騰、コスト増の影響を受ける中、多数の高機能マーガリン・加工油脂製品を世に送り出し、製パン・製菓市場の活性化にも尽力。中国やマレーシアなど海外へも積極進出し、技術優位な製品群で高い競争力を示すなど今日の礎を築いた。日本農薬取締役など関連企業の活性化も図ったほか、社外では日本マーガリン工業会会長、経団連幹事なども務めた。21年4月、旭日中綬章を受章。

●築野富美氏(つの・ふみ)

築野食品工業代表取締役社長=1955年7月生まれ、和歌山県出身。74年ミシガン大学に留学。79年津田塾大学国際関係学科卒、80年築野食品工業入社。96年築野ライスファインケミカルズ代表取締役社長、2001年築野食品工業代表取締役社長に就任。07年に和歌山県経営者協会第10回アントレプレナー大賞を受賞、20年秋に黄綬褒章を受章した。

こめ油最大手の築野食品工業の社長として、こめ油だけでなく、米ぬか由来のファインケミカル製品のグローバル展開を強化してきた。古来、健康と美のシンボルといわれる米ぬかの無限の可能性を信じ研究開発を進め、「こめ油の製造」「生理活性成分の抽出・分画」「工業油脂の開発・製造」と、食品、化学、医療、化粧品など幅広い分野に応用展開を進める。98年には、コメの可能性を世界に発信するべく、国際シンポジウムを開催し、10年に一度継続開催する一方で、女性の働きやすい職場づくりや地域社会との交流、国際貢献を目指した活動にも余念がない。

〈流通・情報部門〉

●加藤徹氏(かとう・とおる)

万代前代表取締役社長、万代油脂工業代表取締役社長=1949年9月29日生まれ、大阪府出身。69年万代入社。電算部長、84年取締役電算部長、88年取締役日配部長、94年取締役サービス部門管掌副社長、2003年代表取締役副社長、04年代表取締役社長、13年万代油脂工業代表取締役就任兼務、16年代表取締役会長、18年代表取締役会長退任、現在は万代油脂工業代表取締役社長を務める。

1962年万代油脂工業から分離し、万代百貨店(現万代)を設立。大阪府東大阪市に本社を置き、チェーンストア展開をスタート。着実に成長を遂げ、業容を拡大している。創業者加藤進氏の長男に生まれた徹氏は2004年に社長に就任。「日本一買い物に行きたい店舗、日本一働きたい会社」を目指し、さらなる内部充実を図り10年に140店舗、13年に150店舗、16年には売上高3000億円を達成。大阪を中心に奈良・兵庫・京都・三重の近畿2府3県へのリージョナルチェーン展開を果たしている。

●田中正昭氏(たなか・まさあき)

日本酒類販売代表取締役社長=1951年5月31日生まれ、東京都出身。74年一橋大学経済学部卒、同年4月大蔵省(現財務省)入省。2001年名古屋国税局長、02年総務省大臣官房審議官(地域振興担当)、04年独立行政法人都市再生機構へ出向し理事、06年東京国税局長、07年農林中央金庫監事、12年日本酒類販売代表取締役副社長(経営企画担当兼関係会社担当)、16年から現職。

「強靱(きょうじん)な体力」と「しなやかな行動力」を併せ持つストロング&グッドカンパニーを掲げ、酒類食品卸トップとしてローコスト経営と市場活性化に手腕を発揮。環境の変化に応じDX(デジタルトランスフォーメーション)をはじめとする組織改革を進め、時代に合った卸の姿を追求してきた。同社70周年を機に「ヒト」「モノ」「コト」といった各面での育成にあらためて注力。酒と食の中間流通を担うプロ集団を率い、豊かな生活の実現に貢献している。

●堀内達生氏(ほりうち・たつお)

ファーマインド代表取締役社長=1951年3月16日生まれ、東京都出身。73年3月学習院大学経済学部卒、77年12月Puget Sound大学経営大学院修士課程(MBA)修了。78年10月キャッスル・アンド・クック・イースト・アジアリミテッド(現ドール)日本支社入社、89年10月副社長、91年2月フレッシュシステム、2000年11月フレッシュリミックス設立、いずれも代表取締役社長、01年ドールアジア・リミテッド上席副社長、06年12月フレッシュMDホールディングス設立、代表取締役社長、15年7月グループ4社を統合合併しファーマインドに商号変更、代表取締役社長(現任)。

日本でいち早く、青果物の全国規模コールドチェーンネットワークを構築。果物・野菜に最適な低温度帯での鮮度キープ輸送を、業界に先んじ実現した。同社は全国14拠点の加工センターと全国を網羅する物流網を軸に、青果専用ITシステムなど独自の技術革新で高品質でおいしい国内外の青果物を消費者へ提供。農業振興、消費者の食育まで、青果流通全体の発展と社会課題解決に貢献している。

〈外食部門〉

●妹川英俊氏(いもかわ・ひでとし)

わらべや日洋ホールディングス会長=1948年11月28日生まれ、福岡県出身。67年山崎製パン入社、72年日洋産業(現わらべや日洋ホールディングス)入社。93年取締役、常務、専務、代表取締役副社長を経て、2009年代表取締役社長、15年代表取締役会長、18年会長(至現在)。業界団体活動においては、外国人食品産業技能評価機構理事長、日本デリカフーズ協同組合理事長、日本べんとう振興協会代表理事副会長、日本惣菜協会顧問を務める。

半世紀において中食リーディングカンパニーで中食10兆円市場に貢献し、その産業価値向上に寄与。また、中食産業は労働集約型産業で慢性的人手不足から外国人材を必要とする環境が続いている中で、19年に発足した外国人食品産業技能評価機構の初代理事長に日本惣菜協会で技能実習制度の導入に取り組んできた妹川氏が就任。中食業界における外国人労働者の試験機関の強化に貢献している。

●佐伯保信氏(さえき・やすのぶ)

大起水産代表取締役会長=1944年8月12日生まれ、中国満州出身。堺市立第二商業高等学校に通いながら青果店と鮮魚店で修業を重ね、1975年に大起水産を設立。塩干業で操業したが、魚の価値を鮮度と位置付け、市場流通が一般的だった80年に鳥取県境港漁港からの産地直送魚販売を開始。以降、日本各地、海外から独自の仕入れルートを開拓して調達力を高めるとともに、鮮魚や寿司を販売する「街のみなと」に「大起水産回転寿司」を併設し、物販と飲食の両輪モデルを業界で先駆けて築いた。さらに、年間1万本誇る生・本マグロ解体ショーでエンタメ性を創出し、国内外から圧倒的な集客力を付けた。

一方、超高齢化社会に不可欠な持ち帰り専門店を近年は複数出店し、京阪神で多種多様な74店舗を現在運営。安全性を担保した冷凍寿司も開発し、魚と寿司の可能性を広げている。魚が日本人の長寿の源との信念から、付加価値を高める売り方と商品展開の追求、産地支援継続で日本魚食文化の醸成に貢献してきた。

◆第54回食品産業功労賞受賞者名(部門別・五十音順・受賞理由)

〈特別功労賞〉

●村上秀徳氏(食品産業センター前理事長)

▽食品産業担う業界と産業全体連携や近代化推進貢献

▽加工食品の安全管理、技術指導、情報提供推進貢献

▽業界が抱える諸課題に行政・業界との橋渡し役貢献

〈生産部門〉

●伊藤雄夫氏(イトウ製菓代表取締役会長)

▽クッキー・ビスケット産業の近代化と発展推進貢献

▽日欧EPA等貿易協定対策等指揮、業界調和貢献

▽業界全国団体等組織運営、調和と普及発展へ貢献

●大沼一彦氏(日東ベスト代表取締役会長)

▽学校給食向けアレルゲン対応食品拡充の先駆的貢献

▽業務用特化の冷食、レトルト、チルド等の普及貢献

▽雇用、職場環境、介護食等開発、地域活性化等貢献

●木下紀夫氏(シマダヤ代表取締役社長)

▽製麺業界初のチルド麺・冷凍麺開発等業界発展貢献

▽チルド・冷凍麺の高品質化推進、チルド物流構築等機能性貢献

▽業界全国団体等組織運営、麺類業界発展への貢献

●小路明善氏(アサヒグループホールディングス取締役会長兼取締役会議長)

▽酒類・飲料・食品の事業成長基盤、拡大推進貢献

▽日本、欧州、豪州等三極グローバル構築基盤貢献

▽グループ全体グローバル化、高付加価値化推進貢献

●殿村育生氏(カステラ本家福砂屋代表取締役社長)

▽創業1624年以来、長崎カステラの老舗伝統継続貢献

▽伝統維持、意識改革、健康企業へ挑戦等斬新貢献

▽長崎県「健康経営推進企業」「ベストプラクティス企業」に認定、職場環境改善貢献

●永谷栄一郎氏(永谷園ホールディングス代表取締役会長)

▽お茶づけ海苔・味噌汁等開発商品の継続普及発展貢献

▽ふりかけ、即席スープ類等生活者ニーズ先取開発貢献

▽業界全国団体等組織運営、新カテゴリー開発拡大貢献

●藤井幸一氏(サンマルコ食品代表取締役社長)

▽北海道産農産物活用の冷食メーカー推進発展貢献

▽変化と客ニーズに寄添う商品開発、地域活性化貢献

▽全国業界団体等組織運営、冷食コロッケ等育成貢献

●吉田康氏(ブルボン代表取締役社長)

▽菓子、飲料、食品、冷菓等多層多様な事業挑戦貢献

▽ルマンドブランドやプチシリーズ等ヒット商品開発貢献

▽業界全国団体、地域社会貢献団体等推進実績貢献

〈技術部門〉

●郡昭夫氏(ADEKA相談役)

▽世界トップ級の技術力駆使で豊かな食生活普及貢献

▽世界市場で技術優位な製品群で競争力維持継続貢献

▽業界全国団体組織運営等通じ加工油脂等高度化貢献

●築野富美氏(築野食品工業代表取締役社長)

▽こめ油、米ぬか由来ケミカル製品のグローバル展開貢献

▽健康と美のシンボル素材の可能性応用取組展開貢献

▽働きやすい女性職場づくり、地域社会交流等挑戦貢献

〈流通・情報部門〉

●加藤徹氏(万代前代表取締役社長/万代油脂工業代表取締役社長)

▽関西圏シェアトップクラスのSM。社会性、地域性信頼貢献

▽日本一買い物に行きたい店等ビジョン標榜実績貢献

▽万代基金等設立、児童養護障害者施設等活用推進貢献

●田中正昭氏(日本酒類販売代表取締役社長)

▽酒類食品専業卸、幅広いニーズ、ノウハウ確立貢献

▽変わる小売業変化にIT、物流、多様化対応挑戦貢献

▽酒文化担い手としてストロングカンパニー行動貢献

●堀内達生氏(ファーマインド代表取締役社長)

▽わが国初、青果物コールドチェーン確立先駆者貢献

▽バナナ色づけ加工、最新鋭青果物流技術革新提供貢献

▽野菜果物の摂取推進食育活動、5 A DAY支援貢献

〈外食部門〉

●妹川英俊氏(わらべや日洋ホールディングス会長)

▽惣菜中食10兆円以上の成長基盤を実践構築貢献

▽セブンイレブン連携等通じ日本惣菜産業価値向上貢献

▽中食業界における外国人労働者の試験機関の強化貢献

●佐伯保信氏(大起水産代表取締役会長)

▽全国漁港直送天然魚を回転寿司と物販で独自流通基盤確立貢献

▽魚食文化の魅力、生・本マグロ解体ショーで国内外普及貢献

▽食の観光ルート構想で日本魚食文化の伝承と発信貢献

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