優秀ヒット賞、ロングセラー賞に輝いた商品の数々

第41回食品ヒット大賞選考委員会

　日本食糧新聞社制定、令和4年度「第41回食品ヒット大賞」および「第36回新技術・食品開発賞」の受賞商品が決まった。今年は大賞は選ばれなかったが、亀井昭宏選考委員長は「コロナ禍や混迷する国際情勢で資源不足や生活環境変化などの影響を受けたからか特に目立ったヒット食品が見当たらなかったが、来年は『ヒット大賞』受賞商品が複数出現してほしい」と期待を込めた。優秀ヒット賞21品、ロングセラー賞6品が受賞した。贈呈式・祝賀会は来年2月16日午後1時からホテルニューオータニ東京で行われる。（安田陽子）

　●新価値・時短志向に特化

　コロナ3年目となった今年は感染しても重症化の減少により、ゴールデンウイークや夏休みの行動制限が3年ぶりに緩和され、人の移動が増加し、経済活動が大きく改善された。しかし、一時的にドル円レートが1ドル150円台となるなど円安による為替リスクが産業界に重くのしかかり、ウクライナ危機をはじめ食料、エネルギー価格の高騰の影響で、国内の食品界は値上げの波に飲み込まれた。本紙調べでは10月には8500品目以上の食料品が値上げされるなど消費マインドの落ち込みを招き、インフレ時代に備えてのさらなる個食化など人々のライフスタイルが変化している。

　そうした中、ヒット賞では、規制は緩和されてはいるがウィズコロナで家庭内での滞在時間の増加などライフスタイルの変化に対応した商品が受賞した。引き続き、味や商品背景にさらにこだわった「新価値・本物志向」に応え、お湯をかけるだけ、電子レンジでチンするだけではなく、ちょい足しにより深い味わいが得られるなど「簡便性」にもさらに磨きをかけている。「健康」では、体のケアを意識しつつ、睡眠の質の向上など消費者の目的に合わせた選択肢を持たせている。

　ロングセラー賞では「候補食品はめじろ押しかつ拮抗（きっこう）し、選考に戸惑うほどだった」（亀井委員長）と商品力を評価した。西武園のリニューアルに見られるように昨今の昭和回帰を反映してからなのか、消費者に愛され息の長い「昭和パワー」を感じさせる商品が選ばれた。

　令和4年度「第41回食品ヒット大賞」選考委員会は11月28日、ホテルニューオータニ東京で開催された。全国有力小売、卸など90社のモニター企業に推薦を依頼、68社（回答率75.6％）からの回答があった。ノミネートされた商品について慎重かつ厳正な選考審査を行って決定した。

　〈選考委員〉▽委員長＝亀井昭宏早稲田大学名誉教授▽委員＝岡本均伊藤忠食品代表取締役社長社長執行役員、京谷裕三菱食品代表取締役社長、國分勘兵衛国分グループ本社代表取締役会長兼CEO、佐々木淳一日本アクセス代表取締役社長社長執行役員、倉本隆日本酒類販売代表取締役社長、柴田幸介三井食品代表取締役社長、今野正義日本食糧新聞社代表取締役会長CEO

　◆食品ヒット大賞

　該当商品なし

　◆優秀ヒット賞（部門別、社名五十音順）

　〈一般加工食品部門〉

　・「三ツ矢クラフトコーラ」　アサヒ飲料

　・「栗原はるみのシチュー（クリーム、ビーフ）」　エスビー食品

　・「キユーピー　ペイザンヌサラダ　ドレッシング」　キユーピー

　・「クラフトボス　フルーツオレ」　サントリー食品インターナショナル

　・「名店監修鍋スープ　すみれ札幌濃厚みそ味」　ダイショー

　・「マルちゃんZUBAAAN！（ズバーン）」　東洋水産

　・「金芽ロウカット玄米」　東洋ライス

　・「日清MCTドレッシングソース」　日清オイリオグループ

　・「完全メシ」シリーズ　日清食品

　・「やみつきスパイスペースト調味料」シリーズ　ハウス食品

　・「ふりかけるザクザクわかめ　韓国風ごま油風味」　理研ビタミン

　〈酒類部門〉

　・「アサヒ生ビール」　アサヒビール

　・「SPRING VALLEY シルクエール〈白〉」　キリンビール

　・「サントリー　翠ジンソーダ缶」　サントリー

　〈チルド食品・フローズン食品部門〉

　・「ほぼカニ」　カネテツデリカフーズ

　・「うにのようなビヨンドとうふ」　相模屋食料

　・「ニチレイ『冷やし中華』」　ニチレイフーズ

　・「睡眠改善」　森永乳業

　〈菓子・パン部門〉

　・「湖池屋STRONG」　湖池屋

　・「ホームパイチョコだらけミドルパック」　不二家

　・「カヌレット」　UHA味覚糖

　◆ロングセラー賞（発売年）

　・「すしのこ」（昭和38年）　タマノイ酢

　・「ギョーザ」（昭和47年）　味の素冷凍食品

　・「農協牛乳」（昭和47年）　協同乳業

　・「たけのこの里」（昭和54年）　明治

　・「麻婆春雨」（昭和56年）　永谷園

　・「タカラcanチューハイ」（昭和59年）　宝酒造