三幸製菓の工場火災 米菓業界、供給に影響広がる

菓子 ニュース 2022.02.16 12363号 01面
火災のあった三幸製菓荒川工場

火災のあった三幸製菓荒川工場

 三幸製菓の荒川工場(新潟県村上市)で11日に起きた火災を受け、米菓業界の供給に影響が広がっている。同社は米菓売上げ業界2位で、トップシェアを持つあられ・おかきを生産する工場棟が全焼したことにより、流通から同業メーカーへ代替商品の依頼が増加。業界内では増産体制で対応する動きもあるが「受注が集中すればパンクする可能性もある」(メーカー)といった戸惑いの声も聞こえる。前例がないことだけに、今後の安定供給に懸念も出ている。(山本大介)

 荒川工場は同社主力の米菓ブランド「雪の宿」や「丸大豆せんべい」などを製造する基幹工場。七つの棟があり、全焼した6番目の工場はもち米を主原料にしたあられ・おかき商品を生産しており、「粒より小餅」「おかき餅」「磯めぐり」など18品と増量対応商品は緊急休売し再発売は未定。「三幸の海苔あられミックス」など5品は緊急終売する。

 現在、安全確認を行うため全工場で生産を停止しており、各工場の生産再開時期は検討中。15日時点で「定番品の供給は最優先で進めている。現在社内調整中」(同社)の状況という。

 米菓市場は20年1~12月出荷ベースで約2800億円規模だった。同社の20年9月期売上高は559億円となっており、約20%のシェアがある。米菓業界ではトップの亀田製菓に次ぐ2位。商品アイテムも多岐にわたっており、火災の影響は米菓業界全体の供給に波及する。

 各米菓メーカーは価格帯や商品ラインアップも違い、菓子問屋との取引条件によって、代替や差し替え対応ができる商品とそうでないものがある。

 現在、小売業からの要請を集約して対応を検討するメーカーもある。流通関係者からは「回復には半年以上の時間がかかるのでは」との声も聞かれ、火災の影響は長期化も見込まれている。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

書籍紹介