食物販から学ぶメニュー開発のヒント:ピカール「クロワッサン」
●拡大し続ける中食市場を背景に仏の冷食専門店が提供するバリュー
「ピカール(Picard)」はフランスで生まれた冷凍食品の専門店チェーンだ。1974年の創業で、現在フランスでは900店舗以上。イタリア、ベルギー、スウェーデン、スイスなど欧州各国に出店し、総店舗数は1000店舗を超える。日本では2016年、イオングループが運営会社イオンサヴールを設立して上陸し、現在11店舗を展開。
同店は、取扱商品のほぼすべてがPBであることが特徴だ。メーカー品が中心である食品スーパーの冷食売場とは一線を画し、独自の店舗ブランドを確立している。中でも、日本での人気ランキングで常に上位に位置しているのが、この「クロワッサン」だ。標準的なオーブンさえあれば、家庭でもかなりクオリティーの高いクロワッサンが焼き上がる。ベーカリーで使用する冷凍パン生地を想像してもらえれば分かりやすいだろう。試しに電子レンジで少しだけ解凍してからオーブントースターで焼いてみたが、それでも十分なおいしさだった。1個当たり80円ほどで焼きたてのクロワッサンが食べられる上に、冷凍食品は長期間保存が利くという利点もある。同店の他の製品もおおむね同様のクオリティーだ。
欧州では一般家庭における冷凍食品の受容性が高く、英国にも店内商品の半数が冷凍食品という小型スーパー「アイスランド」が約900店舗を出店している。
日本国内の「ピカール」は今年に入ってから商業施設内への出店を続けているため、今後、急速に店舗数が増える可能性もある。フランスとは食文化が異なるので、すべての商品が日本の献立にマッチするわけではないが、将来的には日本向けの製品が開発されることもあるだろう。消費者の節約志向が高まる中で、外食が戦うべき相手は多い。
(入江直之)
編集協力:株式会社イートワークス
http://www.eatworks.com/
●店舗情報
「ピカール(Picard)」各店
東京、神奈川に11店舗(ほかにイオン店舗内の売店「プティピカール」2店舗)