アポなし!新業態チェック(174)「1978年渋谷で生まれたスパゲティ」下北沢店
●下北沢に「カプリチョーザ」派生新業態 創業からの看板メニュー専門店化、ワンアイテムのメニューで勝負
「ハードロックカフェ」「サラベス」など人気の飲食店ブランドを多数展開するWDIが、主力ブランド「カプリチョーザ」の派生業態「1978年渋谷で生まれたスパゲティ」を東京・下北沢に出店した。同店は、同ブランド創業からの看板メニューである「トマトとニンニクのスパゲティ」をメインにしたカウンターサービス中心の専門店。現金の受け渡しのない完全キャッシュレス決済店舗だ。
同店では「トマトとニンニクのスパゲティ」を「渋スパ1978」と呼び、メニューは基本的にこの「渋スパ1978」のみ。SSサイズ(70g/780円)、Sサイズ(110g/890円)、Mサイズ(140g/1090円)、Lサイズ(220g/1390円)の4種類のポーションがあり、これに、「イカスミソース」「野菜とカレー」「激辛チョリソ」(各200円)、「アジアンスパイシー」(300円)というトッピングを加えることもできる。またテイクアウト限定で、ドッグパンにパスタとトマトソースを挟んだ「渋スパドッグ」(390円)と、フライドポテトにトマトソースをかけた「渋スパポテト」(350円)がある。
「カプリチョーザ」は、1970年の大阪万博でイタリア館のシェフを務めた本多征昭氏が創業したブランド。同氏はイタリアの国立ホテル学校を優秀な成績で卒業し、欧州の料理コンクールなどで多くの実績を残した料理人だったという。WDIがフランチャイズ展開を行い、海外を含め100店舗を超えるチェーンを築き上げた。(価格はすべて税込み)
★けんじの評価 ブランド創立から45年を迎える老舗
店名にある「1978年」というのは、創業者の本多氏がオーナーシェフとして東京・渋谷に「カプリチョーザ」をオープンした年のことだ。奇しくも、78年は「イタリアントマト」が八王子に創業1号店を出店した年でもある。どちらのブランドも、その後80年代後半から始まった「イタ飯」と呼ばれるイタリアンの大ブームに先駆けて、多くの若者にカジュアルなイタリア料理のイメージを浸透させた立役者ではあったが、店名に反して“なんちゃってイタリアン”の要素が強かった「イタリアントマト」とは異なり、「カプリチョーザ」は本格的なイタリア料理の入門店として存在感を放っていた。
WDIは85年、本多氏の経営する企業のサブフランチャイザーとして「カプリチョーザ」の展開をスタートしたが、その1号店を出店したのが下北沢だ。同社は、「エッグスンシングス」「ティム・ホー・ワン」「ブヴェット」「フージンツリー」など話題の飲食ブランドを数多く抱えているが、中でも圧倒的な店舗数を誇るブランドが「カプリチョーザ」なのである。
「カプリチョーザ」は当初、街角にあるカジュアルなトラットリアといったスタイルで展開していたが、現在、同ブランドの多くは商業施設の中に出店している。今回の出店は1号店の下北沢という立地を意識したものなのだろうが、業態から考えると商業施設にこそふさわしいブランドであるように思えた。また、老婆心ながらメニュー写真にはスタイリストを付けた方がよかったのではないか。
◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
●店舗情報
「1978年渋谷で生まれたスパゲティ」下北沢店
開業=2021年10月1日/所在地=東京都世田谷区北沢2-14-2 第2東洋興業ビル2階
編集協力:株式会社イートワークス
http://www.eatworks.com/