メニュートレンド:ハンバーグをご飯にドン 平戸いのししの魅力発信に一役
にわかにブームの兆しを見せているハンバーグ丼。各店高いオリジナリティーで、しのぎを削っているが、中でも圧巻の存在感を放っているのが東京・有楽町の「平戸からありがとう」で提供している「平戸バーグ丼」だ。見た目のインパクトだけでなく、イノシシ肉100%のハンバーグで強烈な個性を打ち出している。従来なら好みが分かれるジビエにもかかわらず、連日売り切れの人気ぶりを見せていることからも商品力の高さがうかがえる。
●食べ方再定義が客を呼ぶ
「イノシシ肉はなじみの薄い食材ですから、それをアピールしてもかえって客層を狭めてしまう。そこで誰もが日常的に食べているハンバーグにすることで敷居を下げようと考えたんです」と経営するGreenPeace取締役の豊池潤一さんは商品開発の経緯を語る。さらにハンバーグの存在感を最大化するために考えついたのが、丼に“オン・ザ・ライス”で提供するスタイルだった。その狙い通り、飯を覆い尽くすほどに巨大なハンバーグが鎮座するビジュアルがSNSで瞬く間に広がり、連日行列の繁盛店となっている。
ハンバーグは1個150gで、材料は「平戸いのしし」100%。調味は塩、コショウ程度で、獣臭をマスキングするスパイスはほとんど使っていないことからして、肉への自信がうかがえる。
一口食べるとジビエらしからぬ淡白であっさりした上品な甘さに驚く。日常的に食べている豚肉や牛肉よりも軽い味わいに思えるほどで「女性のお客さまでもペロリと食べてしまう」という。
その理由について豊池さんは「平戸に生息するイノシシはドングリが主食。だから甘味があって香りが穏やかな肉質になるんです」と説明する。餌は肉質を決める大きな要因で、同じくドングリを主食とする家畜であるスペインのイベリコ豚の最高ランクに君臨する「イベリコ・ベジョータ」を彷彿させる上質感だ。例えば「仕込み時にひき肉を練っていると手のひらの温もりで脂が溶けていく」と脂肪分の融点の低さも共通しており、平戸いのししの肉質の高さをうかがい知ることができる。
これまで昼のみの営業だったが、春にはディナー営業も予定。平戸いのししの生ハムやパテ、串焼きといったお酒と楽しめる一品料理を提供する計画で、より身近に楽しめるジビエとして平戸いのししが新しい風を起こしそうな予感がする。
●店舗情報
「おばんざいと串と酒 平戸からありがとう」 経営=GreenPeace/店舗所在地=東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館地下1階/開業=2021年6月/坪数・席数=5坪・9席/営業時間=11時30分~17時。日曜休(臨時休業あり)/平均客単価=1300円
●愛用食材・資材
「ゆずピリッ(青)」 善果園果実加工所(長崎県平戸市)
ユズコショウ+酢で使いやすい
長崎・平戸産の食材を提供する同店は、客席に備えた卓上調味料も平戸産のものが並ぶ。中でも平戸バーグ丼のアクセントとして好評なのが同品だ。ユズコショウを思わせる風味に酢の酸味が加わり、イノシシ肉のハンバーグの穏やかなうま味にパンチをきかせる。食後に同フロアに出店している平戸のアンテナショップで購入する客も増えている。
規格=75g
【写真説明】
写真1:フライドオニオンを振りかけた白米の上に、1個150gの特大ハンバーグが重ね置かれたビジュアルはインパクト絶大。さらに大根おろしと卵黄が天盛りされ、今にも倒れてきそうな危うさが圧巻のボリュームを物語っている。副菜や味噌汁も平戸産のものを厳選