メニュートレンド:「深川めし」をイタリア料理に進化

2022.07.04 521号 02面
深川ペペロンチーノ(松) 2,480円(税込み) パスタとは思えない高級感がただよう。開発当初のトッピングはイクラのみだったが、ウニ、キャビアを加えて「リッチ版=松」を開発した

深川ペペロンチーノ(松) 2,480円(税込み) パスタとは思えない高級感がただよう。開発当初のトッピングはイクラのみだったが、ウニ、キャビアを加えて「リッチ版=松」を開発した

パスタはゆで上げ後200g。乾麺を一晩水に漬けておくことでゆで時間を半分に短縮し、モッチリした食感に仕上がる。イクラやウニはそれぞれ30g前後を盛り付ける

パスタはゆで上げ後200g。乾麺を一晩水に漬けておくことでゆで時間を半分に短縮し、モッチリした食感に仕上がる。イクラやウニはそれぞれ30g前後を盛り付ける

パスタと同時に開発したリゾットスタイルの「CHERRYの深川めし」(980円)は、昆布だしに生クリームを加えたまろやかなコクが人気

パスタと同時に開発したリゾットスタイルの「CHERRYの深川めし」(980円)は、昆布だしに生クリームを加えたまろやかなコクが人気

カフェを思わせるポップな店内で、来店客は20代から50代までと幅広い

カフェを思わせるポップな店内で、来店客は20代から50代までと幅広い

 地元の郷土料理から新商品を考える発想は、斬新さと親近感の両方を印象づけやすい利点がある。そこに目を付けて東京・門前仲町の名物「深川めし」をパスタ料理に進化させたのが「Pasta&Wine CHERRY」の「深川ペペロンチーノ(松)」だ。

 ●客の会話ヒントに〈並〉から〈松〉にグレードアップ 郷土料理ネタで地域に溶け込む

 アサリたっぷりなペペロンチーノの上にイクラ、ウニ、キャビアが宝石のように輝く。もはや東京・深川の郷土料理「深川めし」からインスパイアされたとは思いもよらない贅沢ぶりだ。「カップル客の会話で女性客が選んだパスタに対して『もっと高いもの選びなよ』と反応する男性客を何度か見かけたんです。それで高いパスタを作ったら本当に注文するのかなと、いたずら心に火が付いたというわけです」と鈴木真也オーナーは笑う。高級食材をふんだんにちりばめた一品は「ひとひねりある創作パスタがおいしい店」を象徴する商品として認知度アップにつながっている。

 もともと「深川ペペロンチーノ(松)」より前に、ウニ、キャビア抜きの「深川ペペロンチーノ(並)」と「CHERRYの深川めし」を開発していた。「当店はコロナ禍の2021年4月にオープンしました。地元の郷土料理からインスパイアされたイタリア料理をアピールすることで少しでも早期の認知度アップを期待しました」と鈴木オーナー。狙いどおり観光客だけでなく、地元住民も興味を示し、新規客増に貢献している。

 ニンニク、玉ネギ、タカノツメをオリーブオイルで香ばしく炒めたところにたっぷりのアサリを投入。そこに昆布だしとゆで上げたパスタ麺を加え、炒めながらしっかり麺にスープを吸わせるところがポイント。パスタを皿に盛り付けたらイクラ、ウニ、キャビアを盛り付けてシソの葉を散らして完成だ。食べて見るとアサリのうま味をしっかり吸ったパスタがウニ、イクラに負けない存在感を放ち、芳醇な海の味を堪能できる。

 この他にも客の目の前でこれでもかと自家製チーズソースをかける「ハイパーチーズパスタ」など独自性の高い創作パスタを続々と開発。「コロナ禍とSNSにより外食が大きく変わりました。お客さまの目の前で仕上げるなど、ライブ感のある料理で食べに行く価値を作っていきたい」と鈴木オーナーは意気込む。

 ●店舗情報

 「Pasta&Wine CHERRY」

 所在地=東京都江東区門前仲町1-12-8 ミナミビル2階/開業=2021年4月20日/坪数・席数=10坪・18席/営業時間=11時30分~15時、17時~23時。日曜休/平均客単価=昼1300円、夜3500円

 ●愛用食材・資材

 「カンタン酢」Mizkan(愛知県半田市)

 そのままもアレンジも思うまま

 「甘味、塩味、酸味のバランスがよく、そのままでもアレンジしても使い勝手がいい」と鈴木オーナーは語り、ザワークラウトやピクルスなどに採用している。仕込み負担の軽減にもなり、メイン商品の品質向上に注力でき、メニュー戦略にメリハリを付けることができる。

 規格=1.8L

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