海外通信 外食ビジネスの新発想(61)フランスのおしゃれ大福餅屋
●ヘーゼルナッツ、ピスタチオの自家製あん
抹茶は世界的にブームになっているが、和菓子の方も人気が緩やかに広がりつつある。花の都、パリにある「ラ・メゾン・デュ・モチ(餅の家)」では、フランス人によるフランスのおしゃれな大福餅が食べられる。
同店の創始者、マチルダ・モッテさんは、日本で餅の魅力に取りつかれ、フランスに帰国後、2015年に「モチ・モチス」という餅の作り方を記した本を出版。翌16年にオンラインショップとワークショップを始めた。現在はパリに固定店をオープンし、工房で手作りした大福餅をパリっ子に提供している。
同店の大福餅は、小豆、抹茶、ユズ、黒ごま、そば、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、そして月替わりのあん8種類。どのあんも手間をかけて一から作っている。ベースの白あんは、有機栽培の白豆ときび砂糖を使って、独自の製法で作った自家製。チョコレートあんは、ヘーゼルナッツとアーモンドのプラリネ、ココアバター、65%カカオのココア、オーガニックのヘーゼルナッツ・ピューレ、オーガニックシュガーでキャラメリゼしたロースト・ソバを使用。
同店での人気トップ3は、ユズあん、黒ごまあんと月替わりの大福餅。月替わりは、例えば、12月はオレンジの砂糖漬けとジンジャーブレッドの大福餅、1月はパイナップルとパッションフルーツの大福餅など、季節にふさわしいユニークなものを提供している。8個入りの詰め合わせは、好みのものを選んで28ユーロ(1ユーロ=140円レートで3920円)。4個入りは13ユーロ(1820円)、12個入りは38ユーロ(5320円)。ほかに、餅づくりセットの数々も販売している。その他、同店のメニューには、作りたての大福餅のほかに、マッチャッソ(抹茶のエクスプレッソ)、マッチャチーノ(カプチーノの抹茶版)、ホウジチャチーノ(カプチーノのほうじ茶版)などの飲み物も載せている。
そして、同店では、和菓子に不慣れなフランス人に対し、それぞれの餅に合う飲み物を推奨している。例えば、もっとも典型的な小豆あんの大福餅には、抹茶や煎茶などの日本茶とのペアリングをすすめている。きめ細かく滑らかな舌触りの白あんに抹茶を混ぜた抹茶大福には、煎茶か玄米茶。ユズあんの大福餅には、日本茶、特に玄米茶。甘味と苦味の交錯する黒ごまあんの大福餅には、コーヒーあるいは煎茶。
また、ピスタチオあんの大福餅には、ローズ、カルダモン、シナモンで風味付けしたペルシャ風チャイや発泡性のドリンク。豆乳クリームとローストしたヘーゼルナッツのピューレを混ぜ合わせた、心和むヘーゼルナッツあんの大福餅には、ホットチョコレート。
工房では、楽しく餅作りを学べるワークショップも定期的に開き、フランスに餅文化を広めている。
●店舗情報
「ラ・メゾン・デュ・モチ(La Maison du Mochi)」
所在地=120 rue de Turenne, 75003 Paris France