特集 これが中華・ラーメンの繁盛店 「高社郷」薬膳料理で活性化
ポストバブル時代は「成熟社会」の実現であり、「低成長経済」の進行だ。低価格志向はその流れに沿ったものだが、低価格やディスカウントセールばかりがすべてではない。
これは客を吸引する一つの手段にすぎない。商品の値打ち感やサービスの質も伴っていなければならないのだ。とくに飲食店経営はそれが求められる。しかし、こういった価格政策も実態も、店が存続していてのことだ。根本的な問題として小売業界は飲食業を含め、経営者の高齢化や後継者の問題が深刻になってきている。これに加えて店舗の老朽化もある。
経営者も店もクタビレていては客は寄ってこない。ベーシックなこととして、両者ともビビッドであることは重要な条件なのだ。
「高社郷」(こうしゃご=東京・板橋区大山、Tel03・3961・8579)。三五年前にオープン。中国レストランでは地域の老舗だ。八年前に店の運営を長男の猛久さん(37)に任せるようになった。
初代は水野禮三さん(62)。まだ一線を退くほど年はとっていないし、健康にも自信があるので、毎日店には出ている。しかし、店の運営については息子の考えを尊重している。
昨年10月に三〇〇〇万円を投じて、二〇年ぶりに店をリニューアルしたのも息子の考え、意欲を尊重してのことだ。
また、メニューを活性化する意味で店の改装後、新メニュー「薬膳料理」を導入したのも、二代目猛久さんのアイデアだ。
薬膳料理は七年前に結婚した台湾出身の奥さん佳静さんの本場の知識も借りている。猛久さん自身はもちろん調理士の資格をもつが、今年1月、第一六回東京都中華料理環境衛生同業組合主催(東京都後援)の中華技術コンクール「薬膳部」で、優秀な成績を収め表彰もされている。
夫婦共同企画での薬膳料理ということになるが、料理はコースメニューで、八人以上からの予約制。
六〇〇〇円、九〇〇〇円、一万二〇〇〇円(各一人前)の料理設定で、六〇〇〇円コースの場合は、前菜の盛り合わせ、白キクラゲと牛肉片のカキソース炒め、ワタリガニと松の実、季節魚の蒸し料理、翡翠蝦仁、特製おかゆ、四物湯など七品目。
薬草は枸杞、甘草、当帰、白苟など七、八種類。このメニューの客層は男女中高年層が主体。まだ数は多くないが、売上げの貢献度は高い。クチコミで地域外からも客がくるようになった。
通常メニューも充実している。ランチメニューや週替わり定食、季節メニュー、コース料理など。週に二、三回利用したとしても飽きることがない。
店舗改装後は利用客も増えて固定客が六割になる。客単価昼八〇〇円、夜三五〇〇円。売上げは改装前の二割増で月商六〇〇万円。二代目経営は順調に推移しているということだ。
八年前から店を任されるようになった「高社郷」二代目の水野猛久さん(37)と台湾出身の奥さんの佳静さん。佳静さんは日展に入賞するほどの絵の才能があるほか、本場薬膳の知識もある。一男一女の母でもあり、二代目のよきパートナーだ