シリーズ給食産業総点検 新宿NSビル シダックス店「キャフト」の経営戦略

1996.07.01 104号 17面

新宿駅西口から徒歩約一〇分、京王ホテルの斜め裏側に昭和57年日本生命と住友不動産の合弁でNSビルがオープン。当初から新宿NSビルシダックス店「キャフト」は、当時の高層ビルへのキャフェテリア啓蒙戦略の一環として直営で運営をスタートした。

テナント従業員のほか、同階のクリニックの外来患者や近くの都庁の職員などビルへのお客や近隣のサラリーマン、OLの外部利用を全体利用者の一割程度取り込んで二五〇席の席数で一日三回転強している。

同ビルの入居社数は一二〇社、在館者数は約七〇〇〇人。一日八〇〇~九〇〇人の利用を目標にしている。

時間は午前11時~午後2時までの三時間が勝負で、昼のスタッフは一八人。夜5時からはパブ「獨逸亭」となり、入り口も変わる。和・洋・中のコックが揃っているので宴会をとりたいところ。昼食から夕刻までのアイドルタイムの需要掘り起こしも課題だ。

支払いは一時プリペイドカードにしたこともあったが、現在は現金とバウチャー食券のみで、価格は館内勤務者も部外者も同一料金。客単価は昼五九〇円、夜二五〇〇円。定食は日替わりで六五〇円前後。ラーメン三五〇円、その他牛肉コロッケ一二〇円、かき揚げ一〇〇円などのバイキング商品に麺、すし、うなぎのコーナーがあり、全アイテムで約四〇種。一皿一〇〇円、一二〇円のバイキングもある。

うなぎコーナーも設置し、専門性を高めている。うな丼一〇〇〇円、ビル内へのテークアウトも行う。

メニューは本部のメニューを基本にしながら在庫などをにらんで管理栄養士が作成。基本メニューのカロリーや塩分はサンプリングケースに表示して自己の栄養管理を促している。反応があるのは女性で男性はボリュームと品数。客数は七対三で三〇代から四〇代の男性が多い。女性は二〇代が中心。

同社は現在事業所数一九〇〇。新宿西口の住友ビルに日本で初めてキャフェテリア方式を採用して同方式のパイオニアとなる。

平成7年12月期決算は売上高四八四億六七〇〇万円(前期比六・〇%増)、経常利益二三億四二〇〇億円(同四・一%増)、当期利益一一億〇三〇〇億円(同一〇・二%)の増収増益。

同社が推進している年間食材費二〇〇億円の半分一〇〇億円は輸入食材。戦略は現在七品目一〇アイテムで一〇億円未満だが、今年1月からは二〇品目二五アイテムに拡大した。

輸入食材利用によるコストダウンは一〇~一五%くらいと見られる。

石引進支配人は「固定客がほとんどなのでメニューが飽きられないようにクリスマス、正月、節句などのイベントメニュー開発をしたりサンプルケースを見やすく工夫したりしている。キャフェテリアはいかに温かいものを温かく品切れを起こさずに提供できるかがポイント。作りすぎのロスは一〇%弱でこのスタイルでは少ない方。食材費は三六%未満が目標だが、少しオーバーしている。課題は夜の宴会需要の促進」と語るこの道二三年のベテランである。

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