地中海料理ブームを読む 日本人はイタリアンが好き

1997.02.17 121号 13面

日本人の味覚からみて、フランス料理はクリームがくどすぎるし、中華は脂っこい。アメリカ料理のステーキは重すぎる。

世界各国から料理がやってくるが、日本人の味覚という大きな壁に跳ね返され、オリジナルな味のまま残っているものは少ない。カレーライス、豚カツしかり、ステーキ、ハンバーグ、スパゲティなどで一番の売れ筋は和風味である。

穀物である「おコメ」を主食に、魚と野菜を少しが日本人の基本の食パターンである。イタリア料理のコースは、前菜の後第一主菜としてパスタを食べ、第二主菜として肉か魚という流れになっており、イタリア料理の主食はあくまでも肉や魚であるが、穀物大好きな日本人は、日本流にアレンジしてパスタを主菜にして満足する。

おまけにイタリア料理は他の国ではマイナーな魚介類をふんだんに使うメニューがある。これが魚介類が好きな日本人の基本的な志向とピッタリあっている。

これまでの洋食がオリジナルな味では評価されず、和風にアレンジしなければならなかったのに比べ、新しいイタリアンは、オリジナルであって日本人の口に合う料理のみでメニューを作っている。だから本物と胸を張っていえる。

これまではひとつの地方の料理を極めたシェフが作る料理メニューだったのが、日本人が好む料理という切り口になり、南仏、スペインを含むイタリア中心のメニュー仕立てとなった。まさにプロダクト・アウトからマーケット・インへの発想の転換がなされたわけだ。

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