シリーズ・売れる惣菜 タイ料理 辛くても爽やか日本人好み
百貨店の食品売り場にタイ国の惣菜が販売されている。また、ある高級スーパーではタイ・サラダがメニューに取り上げられ、売上げ面でも思いのほか好調である。
タイ国惣菜の特性をあげてみると‐‐
●価格が安く、しかもヘルシー。
●エスニックな味(ホットとサワー)が楽しめる。
●バラエティーに富み味も良い。
●コメが主食の国であるので、日本人にも合う。
‐‐などとなり、評判も良いようだ。
タイ料理は辛くなければタイ料理でないといわれるが、唐辛子、コリアンダー、シナモン、バジリコなどを同時に使用する。このため辛いだけでなく奥行きが広く、複雑な味となる。そして食後感の爽快さも人気を呼ぶ理由となっている。
最近ではタイの味を決める独特の食材、唐辛子(プリック)、魚醤(ナンプラ)、レモングラス(タクライ)、こぶミカンの葉(バイ・マックル)、コリアンダー(パクチー)、蝦醤(カビ)、小さな唐辛子(ピッキヌー)、ココナッツミルクなどの入手も容易で、本格的な味が演出できるように変わってきた。
タイ国で人気のメニューを、日本でもレストランや惣菜メニューとして取り入れたいものをあげると‐‐
●〈肉料理〉ヌア・ヤーン(薄切り牛肉の炭火焼き)、ナムトック(牛肉のスパイスあえ)、ガイヤーン(鶏肉の炭火焼き)、ヌア・ローン・ハーイ(牛筋肉のたれ焼き)、ガイ・トー(タイ風フライドチキン)、サイ・カイ(鶏肉と野菜炒め)、ポ・ピア・ホン・チー(ハムの揚げ春巻き)。ホットなたれが美味。
●〈魚料理〉パップー・ボンカリー(カニのカレー炒め煮)、プーパオ(カニの炭火焼き)、クン・チュップ・ペントー(エビの天ぷら)、トーマン・クン(エビのすり身のさつま揚げ)、トーマン・プラ(魚のすり身のさつま揚げ)、プラ・サムロ(揚げ魚の甘酢あんかけ)。ホットなたれとナンプラで美味。
●〈麺料理〉バーミー(中華麺、汁なし・汁あり)、センミー・ビーフン(汁なし・汁あり)、パツタイ(タイ風焼きそば)、ミーグロープ(ビーフンのパリパリ揚げ)、カオ・ソーイ(揚げ麺・のせ麺)、セニレック・ナーム(汁入り細麺)、カームチン(ビーフンのカレーがけ)。タイ人は麺好きで、安く庶民の味である。
●〈野菜料理〉スプ・ノマーイ(タケノコのスパイスあえ)、チャップ・チャーイ(干し豆腐と高菜の炒め)、タウフー・ナムデーン(豆腐あんかけ)、パット・パック(野菜の炒め煮)、パック・シー・サハーイ(野菜のあんかけ)、ラープ・ジェー(豆腐のスパイスあえ)、ケーン・ソム・パッルアム・ミット(野菜カレー)。辛い味多し。
●〈サラダ〉ヤム・ウンセン(春雨のサラダ)、ヤム・ヌア(牛肉サラダ)、ヤム・クン(エビサラダ)、ヤム・ペ(ローストダックサラダ)、ヤム・ネム(生ソーセージサラダ)、ソム・タム(青パパイヤサラダ)、ヤム・ガム・パン(魚とキノコのサラダ)ほか数十種。ドレッシングはチリソース、ココナッツミルク、ナンプラで作る。食欲そそるもの多し。
●〈デザート〉カオ・ニュー・マーチアン(マンゴーともち米とココナッツミルク)、トゥア・デーン(タピオカと煮アズキにココナッツミルクをかける)、ココナッツ・ゼリ(ココナッツミルクをゼリーで固め、中にパパイヤを入れる)、ルーク・プア・イエン(ハスの実の甘煮、氷を入れて冷たくして食べる)ほか数十種。主材は葛粉、もち米、タピオカなど。これにフルーツ、ココナッツミルクを組み合わせる。
豊かなる味覚の国タイは、食材の良さとバラエティーから生まれる。そして安価で高鮮度。まさに豊饒の大地である。日本では未開発の部分が多く、積極的に取り入れる品目が多い。