魅力のカナダミート・ビーフ 評判の店を探る「スエヒロ」

1997.03.03 122号 13面

ステーキレストラン「スエヒロ」のカナダビーフはジューシーなうまみにあふれている、ともっぱらの噂である。恒例となったカナダビーフ・キャンペーンの集客力も年々強まるばかり。一部店舗では定番化に乗り出すなど密かなカナダビーフ・ブームを巻き起こしている。

圧巻だったのは昨年夏、「分厚くなければステーキではない」をテーマに打ち出した、厚さ二・五センチメートルのブロックステーキ(一八〇g)の反響である。肉類の安全性が懸念されたO157騒動の渦中、レア、ミディアムを柱に通常フェアの倍、当初見込み四割増の売上げを記録した。

「“大自然の恵”をキャッチフレーズとするカナダビーフ。そのクリーンなイメージが追い風になったのかも。通常フェアよりも多く見積もった在庫が期間半ばでショートした」と鳥居昭三営業部長。

また「日本人になじみの薄い分厚い牛肉、その食べ方の新提案がうけたのでは」という。そのユニークな新提案とは、複数客からのオーダーに対しては肉を一括焼成し、既存の二倍近い刃渡りのナイフでテーブルカット、サービスするものだ。このダイナミックな演出、話題性もさることながら肉のうまみも一層ひきたてるとか。

もちろんこれらの盛況は老舗ののれんがあってこそ。が、老舗で人気を得たことはブームの先べんとも受け取れよう。

霜降り和牛志向の日本人は、欧米の牛肉、欧米ナイズされた分厚いステーキを「アゴがつかれる(かたい)」「ぱさついている(ジューシーでない)」といって敬遠してきた。流通の不備で品質が急落する、在庫調整が困難である、といった側面もあり、本物の味を理解されぬまま過ごしてきた。事実「カナダの現地で食べるとおいしいのに日本だとまずい」といった噂は誰もが耳にしたはずだ。

が、いまや日本向けの品種飼育が欧米で一般化。流通、在庫調整、ポーションの規格化なども急速に整備されつつあり、国内のレストランでも現地と同様に、柔らかくジューシーな味わいが体験できるという。

「USビーフ、オージービーフ、カナダビーフを質、価格で比べると、いずれも甲乙付けがたい。大自然のクリーンなイメージがある分、カナダビーフが一歩リードするのでは」と指摘するのはカナダビーフの啓蒙に積極的な(株)オークラデリカ。

「USビーフ、オージービーフが安価で市販化する昨今、レストランではそれらの牛肉にプレミアムを付けにくい。クリーン、ナチュラルイメージのカナダビーフはいまこそ業務用市場でシェアを拡大するチャンス」と展望する。

需給一致でブームに火をつけそうなカナダビーフ。ますます好感度が高まりそうだ。

◆「スエヒロ銀座四丁目店」(東京都中央区銀座四‐四‐一〇、Tel03・3562・0591)

◆「スエヒロ航空会館店」(東京都港区新橋一‐一八‐一、Tel03・3502・3855)

◆「スエヒロ商事(株)」(東京都中央区日本橋本石町三‐三‐一一、Tel03・3241・0918)

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