シリーズ・売れる惣菜 「タイデザート」 手間かけず利幅もたっぷり

1997.05.05 126号 19面

これから夏場に向けての売れ筋惣菜の開発がポイント。さっぱり味、安くておいしく手軽でしかもヘルシー。利幅も十分に見込めるアイテムとしてタイのデザートが挙げられる。

タイはデザート天国とも呼ばれ、多くの人々は激辛の国のイメージが強い。しかしその半面、甘いデザートが大好物である。日本人がタイレストランで食事をとるとデザートを一種類注文するが、タイ人は何と三種類もとる人々もみられる。庶民も同様で、屋台で安いデザートを楽しんでいる。

主材をみると、葛粉、米粉、もち米、タピオカやヌードルなど舌触りのよいものが好まれ、これらのものと各種のトロピカルフルーツやココナッツミルクが巧みに組み合わせられる。

フランスデザートのように、乳脂肪(バターやクリーム)や洋酒(ラム、コアントローほか)を多用し、ハイコスト、ハイカロリーのものは全くみられない。

代表的な名品を紹介すると――

①カオ・ニャオ・トゥリヤン=ドリアンともち米のココナッツソースがけ

熱帯果物の王者ドリアンは、暑期から雨期にかけて収穫される。ねっとりとしたドリアンはもち米とよく合う。もち米を蒸しあげて、この上にドリアンを並べ、ココナッツミルクにパームシュガーを加えて火にかけ、冷ましてからかける。一度食べたら忘れない味となり、バランスがよく絶品の味。手間はかからない。

②カオ・ニャオ・マンゴー=マンゴーともち米とココナッツミルク。マンゴーの甘さともち米の歯触りとココナッツミルクの甘さがハーモニー。3~5月のマンゴーの旬には①に劣らない。

③ウン・カティ=ココナッツミルクのゼリー。タイでも人気メニュー。粉ゼラチンでココナッツミルクを固める。口当たりがよく食後のデザートに最適である。

④グエイ・ブワッチー=バナナのココナッツミルク煮。とろっと口の中で溶けるようなバナナの甘みが最高。バナナを三㎝の長さに切ってココナッツミルクで煮るだけ。

⑤サクー・ピヤッ=タピオカの温かいデザート。タピオカパール(粒)を透き通るまでゆで、ざるにとり、水気を切りココナッツミルクをかける。暑い時はクラッシュ・アイスを入れて冷やすとよい。ココナッツミルクの代わりにココナッツ果肉のスライスを入れてもよい。

⑥カオニャオ・ピヤッ=竜眼入りもち米のデザート。もち米を柔らかく煮て、ココナッツミルク、砂糖、塩を加え、竜眼(缶詰)を入れて器に盛る。

以上は手軽で喜ばれるデザート。このほかには――

⑦ココナッツのアイスクリーム=ココナッツのさっぱりとした味が絶妙で、日本でも販売されファンは多い。タイではドリアンやジャック・フルーツを混ぜる場合もみられる。

⑧サリム=葛で作ったそうめん状に、ココナッツミルクを加えて氷を入れて食べる。のどごしの良さが抜群。これにランブータンとシロップを加えてもよい。

⑨カノム・ヌン・チュッド=カボチャ、バナナ、ゆでトウモロコシ、蒸しキャッサバ(タピオカ芋)にココナッツミルクと砂糖をかける。

⑩トゥア・デーン=タピオカと煮アズキにココナッツミルクをかけた温かいデザート。

⑪ルーク・プァ・イエン=ハスの実の甘煮。氷を入れて冷たくして食べる。

⑫ブァロイ=温かいココナッツミルクにココナッツ寒天を浮かせたタイ風親子汁粉。

タイデザートはエスニック性も十分、珍しさで顧客の舌を楽しませるに違いない。

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