どうなるわが国のハンバーガーチェーン・米国の動向から キーワードは独自性

1997.05.19 127号 12面

また、バンズも同じグリドルで同時に焼き、焼き上げたハンバーガーパティと肉をスチーマーという加湿保温庫に入れておく。そして、顧客が注文したときに、ケチャップやマスタード、オニオンなどの量を聞き、カウンターからその注文をマイクで調理場に伝える。その注文をもとにしてハンバーガーを短時間で組み立てるから、短時間で顧客の好みにあったハンバーガーを作ることが可能になった。

また、バーガーキングは最近新しい衛生管理システムで有名になったHACCPを作り上げた食品会社のピルズベリー社に所有されていたことがあり(現在は兄弟会社)、商品開発が強いので有名で、数年前に開発したBKブロイラーという網焼きチキンのハンバーガーが米国の消費者から高い評価を受けたほど。そのためマクドナルド社は、バーガーキングの生産方式を参考にしてクラムシェルグリドルやステージングシステムという生産方式を開発せざるを得なかった。

ウエンディーズはマクドナルドと同じグリドルを使用するがひと味変えている。それはマクドナルドやバーガーキングは冷凍のハンバーガーパティを使用するが、セントラルキッチンでひき肉にして整形した生のハンバーガーパティを使用するということだ。

また、顧客が自分の好みの個性的なハンバーガーを注文できるように、焼いたハンバーガーパティをグリドルの上で保温しておき、注文後、コンディメントを組み合わせるというシステムを開発した。そのためウエンディーズではバンズを焼いていないシステムを使っている。

後で述べるが、最近マクドナルドで開発したデラックスラインというハンバーガーを焼かないのも、この影響だといわれている。

ハーディーズというハンバーガーチェーンは、大手のハンバーガーチェーンに対抗するために朝食を強化しようと、南部の家庭料理であるホットビスケットを開発しそれに卵料理やハム、ベーコンを挟んだ商品を開発し急成長した。従来、朝食メニューとしてイングリッシュマフィンしか持っていなかったマクドナルドも、ホットビスケットを開発せざるを得なくなった。

その結果、R&I紙の評価ではここ六年ほどの味の評価ではウエンディーズ社がトップであったが、今年は西海岸で急成長中のイン-N―アウト社にその座を奪われた。同社はハンバーガーの種類は三種類と限定だが、生のオニオンスライスなどを入れ、注文生産でハンバーガーを作ることで大人気をよんで急成長中のチェーンだ。マクドナルドの評価はウエンディーズ、バーガーキング社より下であり、便利性で一番の評価を得ているにすぎない状態だ。

このように米国のハンバーガーチェーンは決してマクドナルドのまねをするのではなく、かえってマクドナルドのできないサービスや、商品を開発して独自性を出し、マクドナルド社に対して差別化を目指していることがわかる。

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