ホロ酔いガイド(洋酒編) スコッチ派?バーボン派? 年月かけた熟成に価値が
ウィスキーは、スコッチを例にとると大麦を発芽させ、その麦芽を乾燥粉砕した上で糖化を行い、それに特殊な酵母を加えて発酵させ、できたもろみを搾ってから、単式蒸留(分かり易くいえばその液を煮立てる)でアルコールを取り出す。それを木製のbMに入れて貯蔵熟成したもの。これがモルトウィスキーないし近頃ではシングルモルトやピュアモルトウィスキーといわれるものである。
これに大麦麦芽ととうもろこしを粉砕蒸煮したものとで作った糖化液を発酵させ、それを搾ったものを連続式蒸留塔で蒸留し、この蒸留液をbMに入れて熟成したもの(グレーンウィスキー)とをブレンドし、作ったものである。
だからスコッチウィスキーは基本的にモルトウィスキーだけで作ったものと、グレーンウィスキーとブレンドして作ったものとの二通りがある。
ウィスキーに特有の香りがでるのは、麦芽を乾燥させる際燃料のピートの煙を作用させるからである。
ウィスキーは木bMに入れて数年かけて保存されているうちに熟成されるが、その間に自然に蒸発して、貯蔵年数によっては中身が当初の半分位になってしまうこともある。
ウィスキーの蒸留したてのものはアルコール度が八〇から九〇%もあり、製品にするには割水ろ過が必要になる。しかし醸造酒のように火入れ(加熱殺菌)をする必要はない。
ところで近頃はやりのバーボンウィスキーはスコッチと異なり、とうもろこしとライ麦または大麦の麦芽を混合したものを原料にして作ったもの(アメリカが主産地)。複式蒸留機を使い連続蒸留で作る。使う原料がこのように異なるので味も特有のものとなる。
国産のウィスキーはその製法はスコッチ系なので、味もスコッチウィスキーに近い。
ウィスキーの品質と価格の関係を決める要素は主なものが二つある。一つは前述のモルトウィスキーのブレンドされている割合。多い程良質ということで価格も高くなる。もう一つの要素はそのモルトウィスキーがどの位貯蔵年数が経っているかということ。一〇年・二〇年等の表示があるのはご承知の通り。
最近並行輸入ということで、ウィスキーやブランデーでは非常に価格の異なるものが出回るようになった。そのいわれを解説する。
もともとウィスキーは我が国でなじまれるようになるには、数十年の歳月と膨大な宣伝費が必要であった。大正・昭和の時代特に昭和40年代まではウィスキーの普及に膨大な宣伝費が必要であった。そのため、特に外国のウィスキーを取り扱う総代理店はその費用を負担しなければならず、それを価格に乗せざるを得なかった。国産ウィスキーも基本的には同様のことがいえる。しかし昭和50年代に入ると我が国の需要も順調に増え、その認知度は大衆に行き渡って、商品が宣伝費を負担する必要が無くなった。このような事情を反映して平成元年に酒税法が改正され、特級レベルのウィスキーは大幅に安くなった。その時スコッチ等外国のウィスキーは余り下がらず、誰の目にも、利益は日本の総代理店の側に過当に留保されているのが明らかになった。しかし外国では日本の事情と異なり、宣伝費を余り負担しない普通の手軽な価格である。折柄外貨の流通も自由になったので、我が国の商社が日本の総代理店を通さず、外国の問屋から直接購入するパターンが開発された。それによって総代理店に留保される差益と特約店マージンが素抜きになったのである。
このようにして並行輸入は生まれたが、最近では日本の総代理店も事態に気付き取引体制が改良されて、その差は縮まる方向にある。