世界の人気食材 「パスタソース」 味決戦これから、手軽さには賛否両論
イタリア料理のブームが続く。この中核のパスタは右肩上がりの拡大をみせている。国内パスタの供給量は昨年度ついに二〇万tを超え、最高の記録を更新した。
パスタの伸びをうけて、パスタソースも急増し、多品種化が進んでいる。ボンゴレ、キノコ、シーフード、シメジ和風など。ミートソース系ではシェリー酒入り、コーン入り、ミートボール入り、マッシュルーム入り、ビーフミートなどと多彩に展開している。
特に最近ではペスト・アラ・ジノベーゼと呼ぶバジリコ、オリーブ油、チーズなどの入った本格的イタリア風も加わってきた。トマトソースにバジリコ入りやセップ(キノコ)入りのソースもみられる。
メーカーを分類すると、スパゲティを生産する製粉メーカー、トマトソースメーカー、マヨネーズメーカー、カレーのメーカーなどと多く、品種でみれば五〇種を超えるものがあろう。さらに成長が期待されるとして新分野からの参入もみられる。
パスタソースは外食から内食へと広がったパスタの人気をうけて、業界の規模も三〇〇億円を超えた。業務用と家庭用の比率はほぼ五〇%ずつ分け合っている。
特にレトルトタイプのパスタソースは約六〇億円と缶詰タイプの四分の一程度にすぎないが、この一年間で一・五倍に市場を拡大させた。伸び率では主力の缶詰タイプよりも高いものがある。
レトルトタイプが急成長している背景には人気メニューが多様化していることがあげられる。長い間パスタといえばミートソースかナポリタンなどのトマトソース系が主力であった。
現在ではデミグラスソース、ホワイトソース、和風ソースと多様化し、パスタソース全体に占めるミート系の比率は大幅に低下した。その他ソースに人気が移ったのである。
ミート系主力の缶詰に比べてメニューの豊富な、しかも手軽なレトルトタイプに消費者が移ってきたのである。
パスタの愛好者がヘビーユーザーとなってワンランク上の味を求めてきたのである。ボンゴレ、カルボナーラ、ペスカトーレといった知名度の高いものから、さらに新しい味が求められてきた。
ペペロンチーノ、アマトリチャーナなどをはじめ、トマトとアンチョビ、トマトとバジリコ(スーゴ・デ・バジル)、シメジと牛肉、ナスとオリーブなどと素材の組み合わせも一段と細分化されてきた。
スパゲティを調べると料理の分類で五〇〇種以上、また地方別メニューではジノバ風、シチリア風、ナポリ風、ボローニャ風、ローマ風、ミラノ風などとなり、ますます細分化される傾向もみられる。
またレトルト製品をみると、味の面でも一段とレベルアップがみられる。そして個食タイプであるから、レンジや鍋で簡単に温められる簡便性が大きな魅力ともいえよう。一部にパスタメニューが定着し、そのまま温めるだけでは物足りないとする本格的ファンの声も聞かれるようになった。
パスタブームが続くが、イタリアにみる新しいパスタブランドも登場してきた。と同時に、欧米からのパスタソースも数多く輸入され、これからが味の決戦場となろう。パスタ自身も成熟期の兆しがみられるが、パスタソースによる活性化が望まれるのである。