中部版:シリーズ・今年の中部外食(9)喫茶「カフェ・ド・クリエ」
一〇年前、全国に一七万軒あった喫茶店は現在八万軒。不景気風のあおりを受けて減少の一途をたどっている。愛知でも現在約四〇〇〇軒、低迷傾向が続く。そんな中で昨今、こだわりの本格材料を使いコストをかけた高級志向の店と低価格コーヒーチェーン店の二極分化がすすみ、すっかり定着してきた感がある。今回はそのあたりの二極化状況について取材した。
全国へ「カフェ・ド・クリエ」六七店舗(8月末現在)を展開しているポッカクリエイト(株)(本社東京・野村数敬社長)。ここは名古屋の(株)DPEチェーンのプラザクリエイトと(株)ポッカコーポレーションの合弁会社で、ただ今中部には一四店舗展開中だ。
九四年10月の創業以来、出店とともに売上げも順調に成長している同社。すでに既存の低価格喫茶チェーンが好調に推移している中で出店したわけだが、その成功した要因とはいったい何か。専務取締役の広野道子氏にうかがった。
「創業時のスタッフ五人のうち女性が三人。まず自分たちが入りたいと思うようなカフェを考えた」。その結果二〇代の女性をターゲットに、街なかで一人でも気軽に入れる自由な雰囲気の店を念頭においた。市内に一万二〇〇〇軒ものカフェを持ち、暮らしの中に喫茶文化が根づいているパリに学んだという。早さ、安さ、おいしさに加えて「モンマルトルの画家の描いたオリジナルの水彩画を壁面に飾り、サロンのような文化の香り漂う豊かさとオープンエアの開放的な空間を提供。さらに女性好みの丸テーブルに籐の椅子を備えつけた。
標準店の店舗規模は二五坪六〇席。投資額は店舗取得費を除いておよそ二四〇〇万円。損益分岐点は月商三〇〇万円、一日六~八回転で成立するシステムで、「回転率を上げることよりも豊かな時間を提供したい」(広野氏)としている。
「うちが捉える喫茶店の役割は“カフェ文化の発信地”なんです。言い換えれば縁側文化というか、客単価は日常的に利用しやすい低価格に設定して、郊外へ進出しお年寄りや主婦がおしゃべりできる住空間をつくり、街をひっくるめた展開を行っていきたいですね」
今年度、中部で二五店舗、全国で六〇店舗の新規出店を計画、年商一八億円を見込む勢いだ。
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では、中部における個店の状況はどうか。愛知県喫茶環境衛生同業組合の下山純一副理事長に聞いた。
「オフィスコーヒーと低価格コーヒーの台頭により、個店は平成2、3年頃から減少。特に都心はひどく、反対に二二号線の一宮、岐阜方面と名神高速は影響はあまり被っていない」とのこと。したがって、都心店では苦肉の策として消費税五%分を加算しない方針でのりきる店が約九五%もあるとか。ずいぶん深刻な状況のようだ。
「チェーン店をみると、低価格コーヒーのドトールやカフェ・ド・クリエは成功。一方コメダは広い駐車場スペースを確保し、座席をゆったりとさせて落ち着ける店づくりのメリット性を生かして、大きな落ち込みはない」。この二極化現象は共存しながらますます進んでゆくと話す。
個店は生き残りをかけて「時間と空間を提供する」ための付加価値をどうつけてゆくかが分かれ目となる。たとえば、マンガ本や週刊誌を置き「まんが喫茶」にしたり、カプチーノやエスプレッソなど幅広くかつ高級感を持たせるメニューを設ける、など。
「かつて、モーニング戦争のようなサービス競争が過剰になった時代もあった。客のニーズに応えるサービスについて、再度考えてみる必要がある時期に来ている」













