飲食トレンド:注目の本格中国料理デリバリー 上海エクスプレスの場合

1997.12.01 141号 1面

先行きの不透明感がぬぐえず既存店の売上げ低下に拍車がかかるなか、次世代ニーズを狙うデリバリー業態の動向が熱い視線を浴びている。

デリバリー業態とは、出前を専門化したフードサービスのこと。家庭の食卓を「客席」と見立て、メニューチラシを定期的にポスティングし、オーダーから三〇分前後で配達する、広範囲かつ攻撃的な機動力ビジネスである。商圏そのものが店舗内という発想に基づいているのだ。

配達専門だから、商圏に一定以上の所帯数さえ確保できれば、出店にかかわる立地条件は皆無。内装を省いた厨房のみの小規模店舗なので、開店投資も断然低い。相場一〇〇〇~二〇〇〇万円の初期投資は、銀行の貸し渋りが強まる昨今、売上げや将来性以上に魅力的ともいわれる。

そのデリバリー業態、ピザを皮切りに認知度は急速に拡大。業態化の波はすし、弁当、お好み焼き、惣菜など各業種に波及し、かつての一過性という見方は完全に色あせた模様だ。

残念ながら、オーバーストアで既存店ベースの売上げが頭打ちの商圏もあるが、間違いなくデリバリーのニーズは強まっている。

ビデオ、テレビゲーム、インターネット、そして共働きの増加と高齢者社会の到来。家庭内志向の高まり、クックレス所帯の増加という社会現象は、デリバリー業態活性化の格好の追い風と化しているのである。

そんな折、新たなデリバリーベンチャーが現れ脚光を浴びている。中国料理のデリバリーを本格的にビジネス化した「上海エクスプレス」である。

普通の中華料理店の出前と何がいったい違うのか、現状を取材した。

(2面につづく)

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