で・き・る現場監督 焼肉屋「豪気」南鴨宮店・高嶋英吉店長

1998.08.03 157号 16面

JR鴨宮駅から五分ほど歩くと広い敷地の中に三店のレストランが現れる。三店とも(株)みづほ野が経営するレストランだ。宴会・パーティー、ケータリング、レストランと幅広く活躍するみづほ野が焼き肉店をオープンさせたのは二年前。一年に一店舗をメドに、五店舗の展開が当座の目標。第一期の決算では年商(一〇ヵ月)二億一〇〇〇万円。高く設定していた目標をクリアした。二年目の今年も、前期の同じ月の売上げと比べても一〇四~一〇五%アップしている。

好成績の要因はいろいろあるが、まずは立地。駅から近いため、平日は学校や会社帰りの若者でにぎわう。土・日は広い駐車場がいっぱいになるほど、家族連れが押し寄せる。

次に接客。やはり接客は重要なポイント。豪気のコンセプトは「焼き肉店だけど、居酒屋のような元気で活気をもつこと」。初めのころは客から「うるさい」とおしかりを受けたこともあるとか。そのうち客にも店のコンセプトが伝わって豪気のあり方を理解してもらえた。

接客は「少し崩したサービス」を心掛ける。まず、基本となる接客やマナーをキチッとスタッフにマスターさせる。それから現場に出て、下品にならない親しみをこめた接客の仕方を先輩たちから学ぶ。

オープン時のアルバイトには一ヵ月半にわたる研修を行った。その内容を先輩が新人アルバイトに伝える習慣がいつの間にかできていた。

「初めにキチンと私たちのもつ店のイメージを伝えたおかげでしょうか。今ではみな責任感をもって楽しく仕事をしてくれます。私なんてオーダーとらせてもらえませんから」と高嶋店長。

一年に一店舗の計画は、次の店長を育てるために一年は必要と考えたから。店のイメージを崩したくないという思いは強い。しかし、スタッフへの思いはもっと強い。

「いまは午後4時から開店していますが、初めはランチタイムもやっていました。ところがスタッフの負担が多くて、疲れがピークになってしまって……。トップにお願いして今の時間帯にしてもらいました。その代わり売上げは落とさないよう、皆で集中して頑張っています。売上げも下がっていませんから、成功したと思います」

レバ刺しはメニューに置かない

食中毒対策を伺うと。

「レバ刺し、ユッケはスタート時にはメニューに入れませんでした。いまはユッケは季節を選んで入れていますが、レバ刺しはいまもいれていないし、これからもたぶんおかないと思います。安全で衛生な商品を出すのが基本ですから」

時々客からたずねられるが、キチンと説明しているせいか、トラブルはない。

営業時間の短縮やメニューの削減もスタッフや客を思えばこそ、その考えが高嶋店長の揺るぎない理念のようだ。

◆たかしま・えいきち(豪気南鴨宮店店長)=昭和25年長野県生まれ。外食産業の会社を経て(株)みづほ野に入社。系列和食ファミリーレストランの店長を六年経験し、焼肉店豪気の店長に。夫人と一男一女の四人家族。休日が平日なので、運動会などは店を少しだけ抜けて参加するという家族思いなお父さん。

◆(株)みづほ野=昭和49年創業。宴会・パーティー、ケータリング、レストランと幅広く展開中。従業員数七五〇人。年商五〇億円。

◆豪気南鴨宮店(神奈川県小田原市南鴨宮二‐四一‐一、Tel0465・49・5551)平成8年11月オープン。一日来店客数平日約二〇〇人、土・日約五〇〇人。四人家族でデザートまで食べて一万円以内の値段設定。平均月商一八〇〇万円。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら