スパゲティ 「あるでん亭」(ソニーグループ) 独自のゆで麺機開発
ソニーグループ(アール・アール㈱)が経営するスパゲティチェーンで、FC展開をおこなっている。北は仙台、南は沖縄まで今年10月末現在直営一一店、FC九店の計二〇店を出店している。
あるでん亭の最大の特色は、ファーストフード並みにスパゲティ麺のボイリングを早くするA~ denteロータリー8型スパゲティボイラー」と「A~ denteタイマー2型」を武器(使用特許保有)として、ゆで時間を五分に短縮している。店舗開設は、「FC契約」と「システム契約」の二つがある。
どちらも前記のパテント機器の使用を認める契約のもので、FC契約の場合は加盟金一五〇万円、機器の使用料(ロイヤリティ)として売上高の三・五%、システム契約は保証金五〇万円、償却費五〇万円、機器リース料毎月七万円という内容で、この契約条件によって店舗開設者にすべて「ノウハウ・レシピー」を提供する。
あるでん亭のメニューは全部で二九種(八〇〇~一三〇〇円)。人気メニューはカルボナーラ九〇〇円、和風きのこ一〇〇〇円、和風たらこ八五〇円の三種で、売上げへの貢献度は高い(五、六割)。
メニューには季節の材料も積極的に取り込んでいる。たとえばナス、トマトなどを利用してのバレーゼ(ブロッコリー・ベーコン・ガーリック・トマト)一二〇〇円、ロレッツァ(ベーコン・卵・サワークリーム)一〇〇〇円といったもので、今年の秋冬メニューの一つとしてラインアップしている。
スパゲティはソースと具のバリエーションによって、多様なメニューを作り出すことが可能であるが、あるでん亭でもシーフードや山菜などの材料を取り入れて、消費者ニズにフィットしたメニュー開発を心掛けている。
「本場のイタリアでは家庭料理として、地方地方によって具の種類も、ソースも何千種類もあるといいますから、スパゲティはこうあるべきというパターン化されたものはないようです。ですから、おいしく、楽しく食べられれば、いろんなスタイルのものがあってもいいということだと思います」(あるでん亭本部‐アール・アール㈱リストランテ営業部課長栗野修一氏)。
あるでん亭の客層は二〇代の女性層を中心にして、男性サラリーマン客や学生、中高年層も集客しており、客層の幅は広い。
スパゲティの乾麺もチーズもイタリアからの直輸入、調理もスパゲティボイラーを使ってきっちりとゆでる。
上質の材料を使って、常に出来たてのホットなメニューを提供する。材料や調理には、徹底してイタリアにこだわっているというのであるが、これが多様な客層に支持されている理由ということか。
客単価一〇〇〇~一一〇〇円。店舗はオープンキッチンでカウンター中心の客席スタイルで、明るく気軽に入りやすい雰囲気がある。店の広さは一五~二〇坪、客席数二〇~三〇席、一日の売上げは二〇万円以上。
立地は都市の繁華街を主体としているが、集客力の大きいベストロケーションは投資コストが多大になるので、出店は堅実にステップバイステップで進めていくといった方針にある。
なお、同チェーン経営主体のアール・アール㈱は、別業態の形でスパゲティの市場戦略を展開している。
「かるとっちょ」(cartocio)がそれで、イタリア語で「紙包み料理法」という意味をもち、具を紙とアルミでホイルし、これを蒸し焼きにするという料理形態。具の風味や味わいを残す料理法であるのでとくに包みを開ける楽しみもあって、若い女性たちには好評を博している。
最大の人気メニューは「漁師風スパゲティカルトッチョ」(えび、ほたて、たこの塩味)一五〇〇円で、女性の八割がこのメニューをオーダする。まだ一店舗(ソニービル店)の出店であるが、今後の事情をみて多店舗化と取り組んでいくという。