絶対失敗しないための立地戦略(4) 基本調査の最低ラインは自分で

1992.11.16 16号 18面

《足・目・耳・肌で 確認して計数化を》 前回掲げた「立地マーケティング調査」の基本二〇項目は、あくまでも、基本データーの集収であって、詳細には、その調査項目は、五〇〇項目近くに達する。なにか魔法のような基本マニュアルがあって、それをコンピューターにかければすぐOK!というわけにはいかないのだ。立地調査は地味で、苦労の多い足で稼ぐ作業なのである。

地価高騰、家賃上昇がとまり、比較的リーズナブルになったとはいえ、まだまだバブル値上り前の二倍以上はしており、物件の総投資額に占める割合は巨大である。にもかかわらず、あまりに安易に物件を決めてしまう経営者やオーナーが多すぎるのである。「安い掘り出し物だから」「内装が良かったから」「設備がまだ使えそうだから」ただ「駅に近いから」‐‐などという安易な探し方で立地(物件)を決める人は、例外なく経営に失敗している。

《重要な基本プラ ンニングの作成》 前述したすべての項目をこなせというのは素人には難しいかもしれないが、最低ラインだけは、必ず自分自身の足で、目で、耳で、肌で確認し、計数化してみることが大切である。こうすると自然にその街が、その立地の情景が頭の中に浮かんでくるから不思議である。

もちろん、良好な物件の動きは早い。これだけの項目をすべてクリアするには最低でも二週間から一ヵ月を要してしまう。このため、こうした詳細なマーケティング調査を行う前に、大きな方向づけを決定するためのフォーマット・ワーク、つまりたたき台作業、「基本プランニング」の作成を忘れてはならない。

(A)基本路線の策定

(B)業種・業態の策定

(C)適性規模

(D)建築形態

(E)テナント・ミックス状況

(F)簡易機能ゾーニング(ゾーニング分析)図の作成

(G)ターゲット設定

(H)営業時間帯

(I)簡易型投資予測

(J)簡易型収支予測

‐‐などの、ラフ案を作成、仮決定のための方向づけを行うこともたいせつな作業のひとつである。

立地が決定してしまっており、やる業種・業態も決まっているなら、こうした作業はもちろん不要であり、本格的なマーケティング調査作業に、直ちにとりかかることが必要であることはもちろんである。

マーケティングコンサルタント・戸田光雄

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