で・き・る現場監督 「米作」富里店・野路房男店長

1998.09.21 162号 7面

今年の5月9日にオープンしたばかりの「米作」富里店は、かに料理と和食のファミリーダイニングの店。オープンしてからの平均月商は二二〇〇万円と好調なスタートを切り、年商は三億二〇〇〇万円の見込みとなっている。

地域一番店を目指す野路店長は、「ホテル・レストラン並みの接客サービスと料理の提供」を心がけている。

「ホテル・レストラン並みというのは、さわやかできちんとしたお出迎えができるということ。そしてクオリティーサービスにおいては、感動を与えられる店にしていきたいですね」

これを実践するためにオープン前、スタッフトレーニングを一ヵ月行った。この間、時間にルーズ、無断欠勤が多いなど適正でないと思われる人については、本採用を見合わせたという。シビアではあるが、よい人材をという野路店長の意気込みがうかがわれる。

そしてそのトレーニング中にパート・アルバイトの中から資質のある人材を選び出し、現在はそれぞれパートリーダー、アルバイトリーダーを任せている。

パートリーダーは主に新人の教育に当たっているが、アルバイトリーダーには、まとめ役として、アルバイトスタッフを掌握してもらい、店長からの伝達事項を的確に伝え、そして店長や社員には直接言えないことや不満などを吸い上げてもらう役割がある。

女性の多い職場なので、男性社員には言いづらいこと、例えば生理中で体調が悪いなどをリーダーに伝えることで、女性スタッフが働きやすい環境作りを行っているのだ。

スタッフにはAからEまでの五段階でランクづけをしており、リーダーはAランク。現時点ではこのランクづけをスタッフに明らかにしていないが、秋ごろを目安に公表し、能力給制にしていきたいという。

「自分の能力に見合った給料がもらえるというのは、スタッフの志気を高めることにつながるはずですから」と野路店長は考えている。

野路店長が人を使う上で、一番気をつけていることは、「自分の物差し一つだけでは計り知れないので、いろいろな長さを持つこと」。

一人ひとり、レベルが違うので、一つの物差しだけではあてはまらなくなってしまう。人を育てるには、それぞれの素質や能力に合わせた物差しを用意することが大切だという。

「基本的には、褒め続けるというのが私の育て方。一しかったら、三から五褒めるんです。でも、褒めすぎるとだめになってしまう子もいますし、反対にしかることで伸びる子もいます。それぞれの個性に合わせて使い分けるようにしています」

しかし自分の性格を「直情型」と分析する野路店長は、厳しくしかりすぎて後から反省することもしきりらしい。

富里店では、七二人入る座敷席があるために、その予約の状況をもとに、ワークスケジュールを週単位で作成している。

パート・アルバイトの人数は三九人と多めだ。しかし年中無休の店のため、ローテーションを組みやすくするには、このくらいの人数は必要だという。

「例えば主婦パートは子どもの病気、学生アルバイトはテスト期間などとやむを得ない事情で休みをとることがありますからね」

そして客の入り具合では、スタッフに早上がりをお願いすることもある。しかし、この条件での採用なので、スタッフは納得しており、特に不満はないらしい。「その代わり店が忙しいときには、本人の可能な限り残業することもできます」

このように、ワークスケジュールを基本とし、臨機応変に対応することで、人件費の無駄を省き、同時にスタッフの要望もかなえられるよう配慮している。

星名社長とともに夢を追い続けていきたい、という野路店長。(有)スターフーズでは、今後さらに店舗数を増やす予定で、三年後には千葉県内で五店舗に拡大することが目標だ。

◆のじ・ふさお(「米作」富里店店長)=昭和22年千葉県生まれの五一歳。銀行員を一三年間経験した後、外食店の仕事を始める。昨年の11月、以前からの友人だったスターフーズの星名社長に誘われ、まだ規模の小さいこの会社を「自分の力で大きくできないだろうか」と入社を決意。週一回の休日にはドライブに行ったり、読書をしたりなどで過ごしている。勤務時間は午前9時から午後11時。

◆(有)スターフーズ(本部=千葉県市原市五井東一‐一五‐七、Tel0436・23・6616)一九八八年設立。店舗数は「米作」二店舗。かに料理と和食のファミリーダイニング店。従業員八〇人(社員一二人)。

◆「米作」富里店(千葉県印旛郡富里町七栄字東内野三一八‐一、Tel0476・91・1171)店舗面積一二〇坪・一二〇席。駐車場台数六二。ファミリーが中心。従業員は社員九人、パート一六人、アルバイト二三人の計四八人。

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